いきなりですが、化粧品業界にもトレンドがあります。
トレンドと言っても新たな製法や新開発された成分の話ではなく、大体の場合は『宣伝文句』に関する傾向という意味です。
ヘアケア商材に関して言えば、ノンシリコン→オーガニック→ボタニカル→○○フリーと、ここ数年は「植物由来で髪や肌に優しい」が売れ筋商品の鉄板文句になっていると言っても良いでしょう。
ではその「○○フリー」とは何なのか?
以前お話した無添加やオーガニックにも繋がる話ですので、おさらいも兼ねてもう一度紐解いていきたいと思います。
※今回は長いので、休憩しながらお読みください。
【〇〇フリー】
マーケティング的に「肌に対する悪影響が懸念される成分を除外しましょう」というイメージですね。
直接的には関係無いのですが『無添加』と紐づけ、安心・安全をアピールする際によく使われています。
改めて言っておきますが、そもそも『添加物』とは主に食品に対して使う言葉であって、化粧品に対してはわざわざウリにする意味はありません。
化粧品においては2001年の改定法以降は無添加の定義も無く、売る方も買う方も「何となく」使っているだけなんです。
無添加だから肌に優しい。
無添加だから環境にも優しい。
無添加だから浸透しやすい。
こういったことは基本的に全然関係ありません。
くれぐれも勘違いしないように気を付けましょう。
で、〇〇フリーのお話ですが、ヘアケア商品に限っては主に
☑石油系界面活性剤
☑シリコーン
☑防腐剤
☑酸化防止剤
☑紫外線吸収剤
☑合成着色料
☑人工香料
を不使用としているメーカーが大半だと思われます。
では一つずつ詳細を見てみましょう。
【石油系界面活性剤】
鉱物系界面活性剤や高級アルコール系、もしくはサルフェートとも呼ばれることがあります。
悪名高いラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naが代表的な例ですが、洗浄性が高くタンパク変性の原因にもなり得るということで、現在その出番は減ってきております。
特に髪がキシつきやすくなるため、数年前まではシリコーンを配合する処方が非常に多く『シリコーン=悪』のイメージを作った元凶とも言えるでしょう。
しかし化粧品全般に言えますが、処方とは非常に繊細なバランスで組み立てるものですので、補助的に(泡立ちの補助など)使う分には有用なこともあると思います。
例えばワックスやポマードでバキバキに固める方や皮脂が多めな方など、とにかく1回のシャンプーで爽快に洗い上がりたい人には必ずしも悪いものではありません。
素材コストも抑えられるため、使い方次第ではコスパの良い素材だともいえるわけです。
ちなみに、サロン専売品や高級な値段設定の商品でも少なからず使われます。
さらに言えば、ラウリル・ラウレス硫酸の悪名が広がってしまったため、現在は限りなく近い性質を持つオレフィンスルホン酸Naで代用し、サルフェートフリー(嘘は言ってない)を謳う商品が乱立しております。
【シリコーン】
詳細はコチラ。
先述した石油系洗浄成分に巻き込まれ、悪者扱いされたシリコーンですが近年はようやく誤解が解けてきた雰囲気があります。
一口にシリコーンと言っても細かく種類は分かれますし、その用途も様々でちょっとだけ複雑になります。
ノンシリコン商品やシリコーンを毛嫌いするメーカーは代替品としてシリコーンの機能に類似する成分を加えたりします。
しかし総じてシリコーンほどの潤滑性は生まれず、またコストも高くなりがちな傾向があります。
とは言え、安価なシリコーンを加えればビルドアップ(=髪のゴワつきやベタつき)の原因にもなり得ますので、これも使い方次第と言って良いでしょう。
ヘアケアにおいては、特にミディアム~ロングヘアの方は「髪の摩擦をいかに減らすか」が大事なポイントになります。
だからこそシリコーンが必要であり、あえて(比較的)高コスト&低パフォーマンスなノンシリコン商品を使う理由も無いのでは?と思います。
【防腐剤&酸化防止剤】
詳細はコチラ。
化粧品には「無開封の状態で3年」という消費期限のルールがあります。
そして、どれだけ気を付けても厳密には菌の混入は防げず、極めて微量ではありますがどの化粧品にも混入している可能性はあります。
これは清潔や不潔という話ではなく「滅菌したとしても菌の混入は0%にはならない」という意味です。
スキンケアはともかく、ヘアケア商材は基本的に高温多湿なお風呂場に置いておくものです。
菌には絶好の繁殖チャンスになるわけですが、そういった酸化や腐敗や劣化を防ぐために防腐剤や酸化防止剤は使われます。
また、使用料の上限も設けられており、実際には極微量しか使われることはありません。
防腐剤や酸化防止剤による皮膚トラブルの報告は実際にはほとんど無く、仮にあったとしても防腐剤や酸化防止剤が明らかに原因なのかもハッキリとは分かっておりません。
お肌に気を使うことは良いことですが、我々が日々食べるものにも防腐剤は使われています。
化粧品になると急にヒステリックになるのも謎ですが、基本的には商品の状態を維持するのに必要なものだと思ってください。
【紫外線吸収剤】
正確には紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つですが、主に問題視されるのは紫外線吸収剤の方。
ここ数年で日焼け止めや美容商品、ヘアケアに関しても危険性が指摘されるようになりました。
要因としては原料が石油由来なものが多く肌に対し刺激になる恐れがあるとされ、またアレルギーの原因やホルモン異常を引き起こす可能性があるという点で問題視されています。
個人的には防腐剤と同じような括りの話であり、過度に気にする必要は無いかなと思うのが正直なところ。
というのも、シャンプーに関して言えば基本的に洗い流すものですし、しっかりと流せればそこまで髪に残留する性質のものではありません。
むしろ個人的に気になるのはUVカットをウリにするヘアオイルの方で、シャンプーに対しては敏感なのにヘアオイルには鈍感な方が多いこと。
紫外線吸収剤で問題視されるのは主に日焼け止めの話ですので、同じくつけっぱなしにするヘアオイルの方がリスクが高まると考えるのが自然ではないでしょうか?
【合成着色料】
これに関しては同意見です。
基本的にシャンプーやトリートメントに対しての着色料は不要なものですし、どうしてもオシャレに色付けしたいのならボトルに着色すれば良いので。
特に昨今は滅多に使われることはありませんが『タール系色素』は発癌性も認められており、注意が必要です。
ちなみに、最近多く出回っているカラーシャンプーやトリートメントはまた別物で、主にHC染料や塩基性染料というものが使われます。
髪に色をつけるという意味では着色料であるとも言えますが、その構造は似て非なるものです。
【人工香料】
詳細はコチラ。
大きく分けると
①天然香料
・水蒸気蒸留や圧搾により抽出される精油(エッセンシャルオイル)
・香りの質が高いが、非常に高価で安定供給が難しい
②合成香料
・石油系原料を元に、人工的に香りを似せたもの
・安定供給が可能で、天然香料よりも香りが長持ち
③半合成香料
・特定の香りに近い、もしくは同じ香りだけを抽出し混合したもの
(数種類のバラの混合とか、数種類の柑橘系の混合とか)
となります。
『人工香料』という言葉自体がやや曖昧な感じですよね。
②と③は両方当てはまりそうな気がしますが、恐らくは「石油系原料の香料を使いません」ということで良いのでしょう。
上記の説明の通り、天然香料よりも人工的に合成した香料の方が香りが長期間持続します。
つまりは香りをウリにするヘアケア商品の大半が人工的な香料の割合を増やしてを使用しているということになり、実際に肌に対して優しいかはかなり疑問が残ります。
逆に、天然香料だけで商品を作ろうとすると異常な高コストになるのであまり現実的ではありません。
【まとめ】
最後にいやらしく、自社の宣伝をしてみましょう。
当社のUiSCE Hydration Richシリーズを当てはめてみると
・石油系界面活性剤フリー
・シリコーンフリー(シャンプー)
・酸化防止剤フリー(防腐剤は極微量の使用)
・紫外線吸収剤フリー
・合成着色料フリー
・人工香料フリー
という感じでしょうか。
こういった『〇〇フリー』が品質に直接関係するかと言われると、正直微妙なところです。
逆に「〇〇フリーでない商品の品質は高くない」と言っても良いかもしれません。
つまりは「高品質なものを探す」上ではあまり有力な情報ではないが「低品質なものを避ける」意味では有力な目安になる、と言えるかもしれません。
髪はあなたの一部。
おでこから上と下で投資する金額が大きく変わることは賢明な美容とは言えません。
艶で輝く髪はあなたの魅力を雄弁に語ります。
たまには品質にこだわって、髪をケアしてあげましょう。