ノンシリコーン製品の台頭により悪いイメージがついてまわる『シリコーン』ですが、実際にその役割や効果の詳細はあまり知られていません。
近年は質の良いシャンプーに使われる事は少ないですが、コンディショナーやトリートメントの大半には使われています。
毛穴に詰まって皮膚トラブルの原因になる。
髪に張り付いてカラーやパーマを阻害する。
キューティクルを傷める原因になる。
現実には「そのような事はまず無い」とハッキリ言えますが、何故かそういったイメージで覚えてしまっている方が非常に多いです。
今回はそのシリコーンの種類と特性について触れたいと思います。
【シリコーン】
まず、正確には「シリコーン」と呼ばれ、一般的に知られる「シリコン」とは明確に異なります。
シリコンは自然界に存在する元素であるケイ素(Si)を指し、シリコーンは「ケイ石に化学反応を加えた有機化合物」の総称を指します。
簡単に言うと、
シリコン→元素
シリコーン→化合物
ということです。
その用途は非常に幅広く、身近なところではティッシュペーパーや衣料柔軟剤や調理器具や玩具など、また工業用品や医療品などにも使われます。
熱に強く劣化しづらく、通気性や柔軟性に優れ、さらに安価で安全性が高いという非常に便利な素材です。
そしてシャンプーやコンディショナーに使われる場合ですが、主に毛髪の保護ときしみや絡まりを防ぐ目的で使用されます。
先述したような、毛穴が詰まったりカラーやパーマを阻害したり、キューティクルが剥がれたりすることはありません。
こういった類の話には一切の科学的根拠が無いのが現状です。
【シリコーンの種類】
以下は主なシリコーンの種類と特性です。
●シリコーン
一般的にジメチコンと表記されることが多く、分子量の大きさで質感が変化する。
分子量が大きい(高分子)ほどしっとり、小さい(低分子)ほどサラサラな質感になるが、基本的には分子量はメーカーにしか分かりません。
●揮発性シリコーン
(シクロペンタシロキサン、シクロメチコンなど)
揮発(蒸発・気化)するシリコーン。
他の成分の溶媒のような目的で使われることが多く、質感や洗い上がりなどには大きく関与することはありません。
●カチオン化シリコーン
(アモジメチコン、アミノプロピルジメチコンなど)
カチオン化(プラス電荷を帯びる)することにより、毛髪ダメージ部に吸着しやすくしたシリコーン。
シリコーンと同じく分子量が大きいほどしっとりした質感になるが、ベタつく原因になることも。
●水溶性シリコーン
(ジメチコンコポリオール、PEG-〇ジメチコンなど)
界面活性剤と合成することで水に溶けやすくしたシリコーン。
主にシャンプー後の絡まりやきしみ防止を目的に使われます。
【まとめ】
主にこんなところでしょうか。
ノンシリコンシャンプーが流行し、現在はオーガニックシャンプーを推すメーカーも多くなりました。
そういったメーカーの主張が強いせいか、やたらとシリコーンに対する悪いイメージが先行しているように思います。
ノンシリコンでもシャンプーの品質が高ければ潤いを保ち、髪のダメージを補修できることに間違いはありません。
しかし、指通りに関してだけは決定的に違うと思います。
髪の絡まりを防ぎ、スッとくしが通るような髪に仕上げるにはコンディショナーが重要になりますし、ドライ時の摩擦を減らすことで髪のストレスを減らすことにも繋がります。
その役目を担うのがシリコーンであり、一概には言えませんが「無いよりかはあった方が良い」と言えるでしょう。
身も蓋もない話ですが、シリコーンもノンシリコーンも、結局コンディショナーは品質に左右されます。
ノンシリコーンは基本的にはコストが高い割には効果が感じづらく、ダメージケアという意味では強くオススメできるものではありません。
「品質」と「使い方」に依存すると言っても良いですし、綺麗な髪を維持するためにも、シリコーンは必要な素材だと考えています。