アミノ酸系について

前回は大雑把な洗浄成分(界面活性剤)の話でしたが、今回はアミノ酸のお話。

近年は新興メーカーにより様々なヘアケア製品が台頭し、ドラッグストアや量販店でも大手メーカーの商品以外の選択肢が増えてきました。

ノンシリコンや石油系(サルフェート)フリーなど、大量生産の安価な商品との差別化も顕著になり、特に中価格帯(ボトル1,000~2,000円)は次々と新商品が生まれているようにも感じます。

その中でも、最も基本的な宣伝文句として使われる”アミノ酸系”という言葉。

もうアミノ酸系を謳うだけで良質なシャンプーになるようなイメージが広がっていますが、実際にアミノ酸系洗浄成分について考える人は多くありません。

アミノ酸系は何が良いのか?

サルフェート系や石けん系とは何が違うのか?

そもそもアミノ酸系とは何なのか?

今回はその辺りを紐解いていこうと思います。

 

 

 

アミノ酸系シャンプー

アミノ酸系洗浄成分は弱酸性で低刺激、保湿性に優れているのが特徴です。

皮膚や髪はタンパク質(アミノ酸)でできているので、同じアミノ酸で洗えば肌に対する影響を最小限に抑え、また肌や髪に対する親和性が高いのでしっとりした洗い上がりになります。

ただし間違えがちなのは「洗浄成分が穏やか」ではないということ。

一般的に「マイルドな洗浄性」と言われますが、正確には「保湿性はあるけど、洗浄性はピンキリである」が正しい答えになります。

 

ちなみに、アミノ酸系洗浄成分を含む商品全般がアミノ酸系シャンプーと呼ばれますが、当然含有量にはピンキリがあります。

嫌な言い方をすれば高級アルコール系やベタイン系など、アミノ酸系以外の洗浄成分を使用したとしてもアミノ酸系がわずかでも混ざっていれば「アミノ酸系」と名乗ることも少なくありません。

シャンプー(化粧品)の成分表示は配合量の多いもの順に並べる決まりがあるので、水の次にアミノ酸が表示されない商品はやや疑った目で見た方が良いと思います。

だからと言って粗悪な商品とは言いませんが、アミノ酸系を謡う以上は最大配合量にアミノ酸系が来るのが筋と言うものではないでしょうか。

 

その洗浄性を並べてみると、

【洗浄力強】
サルコシン系

グリシン系

タウリン系

アスパラギン酸系

アラニン系

グルタミン酸系
【洗浄力弱】

 

という感じ。

では各々の特徴や性能を見てみましょう。

 

 

 

サルコシン系

アミノ酸系界面活性剤の中では歴史が古い(1940年代~)

洗浄性が高く泡立ちが良いことに加え抗菌性を持ち、髪や肌に対しての負担が強めで洗い上がりはキシつきやすく、頭皮に対しての負担も大きめ。

近年は化粧品に使われることは少なく、口臭予防として歯磨き粉に使われることの方が多い。

シャンプーにおいては泡立ちが良いので、起泡性を高める目的で補助的に使われることが多い。

高濃度では脱脂力が高く、刺激性が残りやすい

 

 

 

グリシン系

サルコシン系に次いで洗浄力があり、優れた起泡力と脱脂力を持つ。

基本的にアミノ酸系は弱酸性領域で使われるが、例外的にグリシン系は中性-アルカリ性領域でも効果を発揮する。

そのため感覚的には石けん系に近く、スッキリと洗いあがる一方で髪に対してのキシつきが出やすい

ラウリン酸やミリスチン酸と併用することで、より泡の弾性や安定性が高まるのが特徴。

メインに配合されることは少なく、補助的に使われることが多い。

スタイリング剤を多用する方向け。

 

 

 

タウリン系

そこそこの洗浄性で低刺激、キメ細かい泡を作るが泡量がやや少なめ。

キューティクルに対する影響力が小さく、ヘアカラーの褪色防止に効果的。

洗浄性、起泡性、低刺激性、コンディショニング性、どれを取ってもバランス型。

メーカーにもよるが厳密にはアミノ酸系ではなく、また種類が極めて少ないため一般的にはココイルメチルタウリンNaかカプロイルメチルタウリンNaのどちらかが使われます。

 

 

 

アスパラギン酸系

比較的新しい部類のアミノ酸系で低刺激でマイルドな洗浄性、起泡性も良く流した際の泡切れも良好。

皮膚や目に対する刺激が低く、ベビーシャンプーによく使われる。

以前は他のアミノ酸系と比べ泡質や泡切れが優れていると言われていたが、近年はあまりそういった評価が無い(何故かは不明)

TEA(トリエタノールアミン)のものは非常にしっとりしており「クセを抑える」とか「まとまりを出す」系のシャンプーによく用いられる。

しっとりに寄せ過ぎたシャンプーはベタつく恐れあり、よく流しましょう。

ややお値段が高め。

 

 

 

 

アラニン系

主にラウロイルメチルアラニンNaがよく使われ、良質なシャンプーの大半に使われている。

その歴史は比較的長く、刺激性に難がありコストも高かったサルコシン系に取って代わり、1960年代頃からアミノ酸系の主流になっている。

アミノ酸系の中では洗浄性とコンディショニング性のバランスが最も良いため、しっとり系でもサラサラ系でも幅広い商品の個性に合わせやすいのが特徴的。

また他のアミノ酸系と比べても起泡性が高く、また他の洗浄成分と併用することでより起泡力が上がる特性を持つ。

上位互換として改良型のアラニンNaがあり、非常にキメ細かく豊富な泡量を誇るが、ややお値段が高め。

 

 

 

 

グルタミン酸系

アミノ酸系の中では最も泡質に難がある半面、非常にマイルドで低刺激。

良く言えばコンディショニング性が高く、洗浄性もそれなりなのでベビーシャンプーやダメージ毛用のシャンプーに用いられる。

単体では極めて泡立ち・泡持ちが弱いので他の洗浄成分との併用が必須になるが、そのせいでメリットが無くなることも少なくない。

洗い上がりにしっとりとした質感を生むが、スタイリング剤やヘアオイルを多用する方には不向き。

肌のコンディションが気になる方や、頭皮トラブルに悩む方向け。

 

 

 

 

まとめ

実際には数種類の洗浄成分を商品コンセプトや目的に合わせて配合するものなので、一概に性能を語ることは難しいですが、ある程度の参考にはなると思います。

「髪にも肌にも有効である」ヘアケア製品は実はそんなに多くはなく、当然メーカーは製造コストと利益を天秤にかけて「髪のケア」か「頭皮ケア」のどちらかに寄せることが多いです。

 

ドラッグストアに行けば山ほどシャンプーが置いてありますが、その大半が”アミノ酸系”を宣伝文句に使います。

「アミノ酸系だから良い」という短絡的な考えではなく、どういった成分が自分に合っているのかを考えてみましょう。

主成分は何なのか?

どのアミノ酸系洗浄成分なら自分の髪質や肌質に合うのか?

そういったことに注目し、自分に合うヘアケア探しの手伝いができれば幸いです。

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