コスパの考え方

長く美容師をやっていると「市販のもので良いヘアケアありません?」とか「市販でコスパの良い商品知りません?」と聞かれることがあります。

これは美容師であればほぼ全員が同じ答えになると思いますが、答えはありません

 

そもそもどういったものが「コスパの良いヘアケア」なのか定義も曖昧ですが、恐らくは

・髪を補修、保湿する
・頭皮に対するケアができる
・毎日気兼ねなく使える価格帯
・安全性が高い

という感じですかね。

 

物価高や不景気が続くと「コスパ」で商品を判断する意識が高まるものです。

しかし「コスパが良い」とはどういう意味なのか?

どういった基準で商品の価値を見極めるべきなのか?

今回はそういった点を紐解いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

【価格帯】

以前シャンプーに関しての相場観を少し書きましたが、ヘアケアに関しては大体1,000円毎の価格差を目安に、品質の差を考えてみましょう。

シャンプーを例に大体300ml~500mlのボトルを想定すると、ざっくりとした計算ですが

・1,000円未満→格安
・1,001~2,000円→リーズナブル
・2,001~3,000円→中級品
・3,001~4,000円→高級品
・4,001円以上→ブランド品

といったところでしょうか。

 

一応補足をしておくと、一般的にメーカー側は円/1mlの「ミリリットル単価」で計算することが多く、それに倣うと

・1~3円→格安
・4~5円→リーズナブル
・6~9円→中級品
・10~20円→高級品
・21円~ブランド品

という感じ。
(※あくまでイメージで、品質を左右する意味ではありません)

 

販売価格だけを見るにしても実に5倍~20倍くらいの差があり、実際に製品を作るうえでの予算はもっと格差が広がります

ヘアケアやスキンケアを作る際の原料費はかなりピンキリが激しく、よく『水物』と揶揄される化粧品も高品質なものを目指せばかなりの予算がかかるものです。

 

それだけ製造する上で大きな予算の差があるわけで、これで『同じような品質を持つ製品』を作るのはほぼ不可能と言っても良いと思います。

「何やら凄い成分」が配合されている商品にしても明らかにこの値段では販売できない(赤字になる)ものも多く、実効濃度に届いているのか疑わしい商品も少なくないでしょう。

 

 

 

 

 

 

【広告料やデザイン料】

化粧品全般に言えることですが、特に大手の企業や新興ベンチャー企業になるほど『広告費』の予算が桁違いに増える傾向があります。

というより、広告費は基本的にかなり高額なので中小企業にはできないと言ったほうが正しいかもしれません。

 

TV広告やYou tubeやネット広告、雑誌や電車の車内広告、もしくはSNSのインフルエンサーを起用した広告などなど。

非常に幅広いものですが、いずれも安価にできる宣伝というものはありません。

 

また、昨今はようやく問題として取り上げられるようになりましたが、

「〇〇ランキング1位」
「顧客満足度95%」
「評価サイトで金賞受賞」

こういった実績マーケティングも基本的には有料で、メーカー側がマーケティング企業に報酬を支払っているものだと思ってください。

その証拠に、当社にもこういった評価サイトを運営する企業から毎日のように営業メールが届いております(汗)

 

さらに、化粧品を入れる容器も決して安価に作れるものではありません。

現在の石油価格の上昇により、プラスチック容器を採用している企業側もかなりの痛手を負っているのが現状です。

 

意外と知られていませんが、容器は材質にもよりますがシンプルに形状が複雑になるほど高価になっていきます。

最も顕著なのがプッシュボトルで、ポンプが意外と高いのでキャップ式の容器に比べおよそ1.5倍~2倍以上の費用がかかります。

さらに既成のボトルではなくブランドのオリジナルボトル等を採用すれば、その予算は相当な金額になります。

やはり、規模の大きなメーカーにしかできない商品のブランディングと言っても良いでしょう。

 

ここまで読んでいただき、いずれも予算の行く先は『品質』ではなく『マーケティング戦略』だということにお気づきでしょうか?

毎日の生活で広告が目に入る商品。

明らかに異常な人気でバズっている商品。

一般消費者が知らないであろう知識で書いた口コミ。

一口に『宣伝広告費』と言っても、現代は様々な方法で各企業がブランディングに励んでいるわけです。

 

しかし、これもひとつのビジネスの形。

こういった販売マーケティングが不誠実なのかと言えば、個人的には一概にはそうも言えないかなと思っております。

むしろ当社のように「1人で全ての業務を行う」方が異常であり、会社の規模を広げるという意味では無謀な挑戦であることは自覚しております(泣)

 

実際にブランディングに投資した企業による製品こそがベストセラーになるという現実もありますしね。

だからこそ各メーカーも鎬を削り、宣伝広告の予算を増やしていくのは合理的な選択だとも言えます。

つまりは「消費者は品質ではなくイメージで物を買う」というビッグデータがより鮮明になるわけですね。

 

 

 

 

 

【コスパの話】

話は最初に戻りますが、先述したように化粧品業界は「広告費用ありき」で新製品をブランディングしていきます。

そこで、宣伝広告費やボトルを含めたデザイン料を鑑みて「コスパが良い」とはどういう意味になるのでしょうか?

 

もちろんオシャレで可愛らしいボトルの価値や、誰もが持っている鉄板の商品を卑下するわけではありません。

しかし、それは本当にコスパの良いものなんでしょうか?

世界的に見ても日本は特に「価格が安い=コスパが良い」と考える傾向が極めて強く、それは「化粧品に関する知識が無い」ことに他なりません。

 

例として中国市場の話を少し挙げてみましょう。

ひと昔前の中国は「安かろう悪かろう」が横行していました。

しかし現在の中国は消費者の意識が変わり、またネット環境の発展もありより良い品質をできるだけ安く購入する意識が非常に高くなっています。

 

元から「中国人が中国製を信用していない」という背景があるのも理由のひとつでしょう。

現在の若い中国人の美意識と美容の知識は明らかに日本のそれを上回っており、美容商品選びに極めてシビアな面を見せております。
(※実際に中国マーケティングの方に伺った話ですが、可愛いパッケージを気に入って買っても信じられないほど返品するそうです)

日本で大流行している韓国コスメですら(日本の市場の10倍以上である)中国ではあまり流行しなかったようで、その理由もシンプルで「品質が悪いから」というもの。

 

つまり一般消費者の知識が行き届いており、イメージありきで企画した商品は全く相手にされないということです。

世界基準で考える「コスパ」とはそういうものであり、先述したように「価格が安い=コスパが良い」という考え方がズレているのは認識してい頂けると思います。

 

 

 

 

 

【まとめ】

我々も含め、百貨店やコスメストアとの取引はできなくとも、自社ECサイトで良質なものを購入してもらおうと努力を重ねる企業は少なからず存在します。

もちろん「ネット通販だから品質が良い」という話ではありません。

宣伝広告やデザインを棒に振ってでも「より良い品質」に予算を割くメーカーがあるということを知って欲しいのです。

メーカーは「美容に関する人の悩みを解決してあげたい」という考えの元で研究開発を続けているはずです。

つまり、それらをマーケティングありきの市販品と比べる時点で「土俵が違う」わけです。

 

安価で買える市販品は本当に「コスパ」が良いのか?

原料や製法に妥協せず作り上げた「高級品」は本当にコスパが悪いのか?

同じ価格帯の市販品で悩む方が、考えるきっかけになれば幸いです。

 

 

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