「クリームシャンプーは肌に優しく髪がツルツルになると聞きましたが、本当ですか?」
というお問い合わせを頂きましたので、お答えします。
クリームシャンプーは、いわゆる泡立たないシャンプーとして一部のメーカーが取り扱っているようです。
正直に言うと扱ったことはありませんので正確な答えになっているかは何とも言えませんが、あえて言うならば「髪はツルツルになるが、肌に対しては有害である」と思います。
その理由を説明していきます。
界面活性剤
前回に界面活性剤の種類について触れましたが、「陽イオン(以下カチオン)」と「陰イオン(以下アニオン)」というものがあります。
詳細を説明すると長くなるので省きますが、カチオンは”くっつけるもの”でアニオンは”取り上げるもの”だと思ってください。
つまりカチオンは髪に保湿性や柔軟性などをくっつけるコンディショナーやトリートメントに。
そしてアニオンは頭皮の皮脂を洗い落とすシャンプーに使われるということです。
(実際にはもう少し複雑に組み合わせます)
クリームシャンプーの処方
いくつかの販売元の広告を拝見しましたが、宣伝文句を要約すると、
■合成界面活性剤は過度な洗浄力で肌を傷める
■化学物質が体内に残留する
■その結果、髪が細くなったり白髪が増えたりする
■クリームシャンプーなら肌に優しく、髪がツルツルになり、白髪や脱毛が減る
■安心安全、赤ちゃんにも使える
となっています。
つまり泡立つシャンプーは洗浄力が強すぎるので、泡立たないマイルドなシャンプーで洗おうと。
その考え方自体は否定しませんが、そういったシャンプーには一般的に「コカミドプロピルベタイン(両性界面活性剤)」という低刺激な洗浄成分が使われることが大半です。
しかし、成分表示を見た限りではクリームシャンプーの処方はカチオン界面活性剤がメインとなっており、これは端的に言えば「シャンプーじゃなくてコンディショナー」ということです。
大事なことなので2回言いますが「シャンプーではなくコンディショナー」ということです。
どういう効果?
まずコンディショナーに使うカチオン界面活性剤はアニオンに比べ著しく洗浄性が低く、殺菌効果はありますが皮脂は洗い落とせません。
さらにアニオン界面活性剤よりも遥かに刺激が強く、そもそも「肌に塗る」ことを想定して使われない成分です。
カチオン界面活性剤による肌への危険性はタンパク変性作用(詳細は省きます)と呼ばれますが、恐らく石油系(ラウレス硫酸、ラウリル硫酸)よりも肌に対してはデメリットが大きいと思われます。
そのデメリットは大きく2つ、皮膚疾患と脱毛になります。
「大袈裟じゃない?」と感じるかもしれませんが、これは本当に危険です。
アメリカでは実際にこのような商品で健康被害を受けた方々が訴訟を起こし、最終的に2万人規模の訴訟事件にまで発展した例があります。
(コチラの記事参照※外部リンクに飛びます)
そもそも少量の洗浄成分でも頭皮全体を効率良く洗えるようにと、また簡単に流れ落ちるようにと泡立てるわけですからね。
それがクリーム状になれば頭皮全体に行き渡らせるのも大変ですし、流す際も綺麗に落としきるのは大変だろうと思われます。
まとめ
試しに手持ちのコンディショナーやトリートメントで洗顔すれば良く分かると思いますが、ヌルヌルベタベタします。
当然顔は綺麗にならないですし、1カ月も続ければかなりの確率で肌荒れになると思います。
最近では白髪染めを兼用するようなクリームシャンプーもあるようですが、恐らく白髪は染まりませんし、ハゲます。
赤ちゃんに使えるという宣伝もありますが絶対に止めた方が良いです、危険です。
にわかに信じがたいですが、広告を見た限りではTV番組や女性誌などで取り上げられたこともあるようです。
「大きく宣伝広告をしているものだから大丈夫」というのは思い込みです。
化粧品業界は過去にも色々とありましたし、明らかに危険な商品が出回ることもあります。
大まかな目安として50~80%くらいの割引をするメーカーは概ねこんな感じのところが多いように思います。
本当にお得に販売するつもりなのか、何か意図があって無茶な割引をするのかは分かりませんが安くなるには理由があるものです。
それらを知らずに使うことで大きな代償を払うことになることがある、という点だけは覚えておきましょう。