シャンプーの品質を決める洗浄成分ですが、あまり一般的な知識ではないため殆どの方は知らないのが現状です。
「シャンプーの性能を決める7割~8割は洗浄成分」と言っても過言ではなく、本来は最も気にするべき部分でもあります。
しかし「オーガニック」や「ボタニカル」や「無添加」というイメージだけで商品を選ぶ人が圧倒的に多いのもまた事実。
いかに宣伝広告された商品でも内容が伴わないものが多いですし、無名のメーカーが良質な商品を売り出すことも多いのが美容の世界。
今回は参考までに、シャンプーに使われる洗浄成分(界面活性剤)の種類と特徴について触れたいと思います。
◆硫酸系
(石油系、高級アルコール系)
例)ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸Naなど
最も代表的な洗浄成分で洗浄力や泡立ちが極めて高く、また原価が安いので市販のシャンプーの大多数に使われています。
皮脂を落とす力が過剰になりやすいので頭皮の乾燥や痒み、フケの原因になりやすく、髪のキシつきの原因にもなります。
この髪のキシつきを改善するためにシリコーンが添加されるため、シリコーン=粗悪なイメージが定着してしまいました。
分量さえ適切であれば洗浄性とコストパフォーマンスに優れるため、よほど安価な商品でなければ補助的に使われることが多いです。
近年は硫酸系・石油系を謳うと消費者に嫌がられる傾向が強くなったため、その代替品としてほぼ同じ性能を持つオレフィンスルホン酸Naが使われることが増えています。
◆ベタイン系
例)コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸Naなど
洗浄力や泡立ちは低いものの安全性が高く、よく「ベビーシャンプーにも使われます」と表現されます。
また、髪に対して多少のコンディショニング性を持ちます。
洗い上がりのきしみ防止に使われることが一般的ですが、敏感肌の方向けにメインで使われることもあります。
頭皮に優しい一方で洗浄性がマイルド過ぎるので、汗っかきやスタイリング剤を多用する方には不向きで、場合によっては全く泡立たなかったりすることも。
上位互換としてスルタイン系(アミドスルホベタイン型)があり、ベタイン系はほぼ全ての製品に使われますが、スルタイン系は良質な製品に用いられることが多いです。
主に髪のコンディショニング効果や、頭皮への刺激緩和として補助的に使われることが多いです。
◆グルコシド系(糖系)
例)デシルグルコシド、ラウリルグルコシドなど
グルコース(ブドウ糖)由来の洗浄成分で洗浄性や泡立ちに優れ、多少のコンディショニング効果も含みます。
一般的に優しい洗浄成分として扱われ、主にシャンプー後のきしみの防止や他の成分の刺激緩和、泡質の改良などに使われます。
◆酸性石けん系
例)ラウレス-〇カルボン酸Na、ラウレス-〇酢酸Naなど
※○には数字が入ります。
アルカリ領域や硬水での洗浄性・泡立ちの低下を防ぎ、肌に低刺激で適度な洗浄性を保つ洗浄成分。
石けんとは異なり弱酸性で、酸性領域でも使用できます。
洗浄性に優れる一方で肌にも優しい成分とされ、泡質が細かいのも特徴。
メンズ向けのシャンプーや、スッキリ洗いたい夏向けなシャンプーによく使われます。
◆アミノ酸系
例)ココイルグルタミン酸Na、ラウロイルメチルアラニンNaなど
アミノ酸由来の洗浄成分で、適度な洗浄性と潤いを保つ保湿性が特徴(例外あり)
敏感肌向けのスカルプケアやダメージケアに良く使われ、良質なシャンプーのベースとして広く用いられます。
ただし「肌に優しい=菌にも優しい」ので、多汗症や皮脂が多めの方だと洗浄性が弱すぎることがあったりします。
種類が豊富で泡立ちの良いもの、低刺激で肌に優しいもの、しっかりと汚れを落とす洗浄性の高いものなど種類が豊富なのも特徴的。
一応補足しておくと、
・グルタミン酸系→泡立ちや洗浄性は弱めでしっとり系。
・アラニン系→そこそこな泡立ちと洗浄性、ややさっぱり系、高価。
・グリシン系→泡立ちと洗浄性が高くさっぱり系、中性~アルカリ性で効果を発揮するため髪はきしみやすい。
・タウリン系→そこそこな泡立ちと洗浄性、さっぱり&しっとりバランス型。
・アスパラギン酸系→そこそこな泡立ちと洗浄性でバランス型、高価。
・サルコシン系→殺菌性を持つ特殊なもの。旧表示指定成分(アレルギーの原因になる可能性がある)ということもあり、最近はあまり使用されない成分で、むしろ歯磨き粉によく使われます。
◆PPT系(タンパク系)
例)ココイル加水分解コラーゲンK、ラウロイルシルクアミノ酸Naなど
主にシルクやコラーゲン等のタンパク質由来の洗浄成分で「トリートメント性を持つ洗浄成分」とも言われます。
柔らかくしっとり。
サラっとハリコシ。
滑らかなしなやかさ。
などなど、求める質感に合わせて用途や配合が変わりますが、これをメインに使うシャンプーは基本的に良い商品だと思って良いでしょう。
洗浄性や泡立ちは控えめながらも、髪や肌に対して大きなコンディショニング性を与えます。
非常に高価なため補助的に使われる事が多いが、これらをメインに配合した最高級品もあります。
まとめ
以上、大まかではありますが洗浄成分の種類と傾向を述べました。
シャンプーで大事なのはメインに配合される洗浄成分です。
どれだけ誇大に広告しようと、耳障りの良い宣伝文句を謳おうと、成分表示は嘘をつきません。
今使っているシャンプー、これから使いたいシャンプーを手に取る前に、その商品がどれほど良いものなのかを考えてみるのは大切なことです。
シャンプーの質の大部分は洗浄成分で決まるものですし、記載される成分表示にはどんな宣伝広告よりも大事な要素が含まれています。
普段使っているものや気になっていた商品など、一度手に取って配合成分を調べてみると面白いと思います。