数年前に一度トレンド的なヘアケアとして取り上げられ、その後も微妙にくすぶっている湯シャンのお話。
「頭皮の清潔を保ち、健康的な肌を維持する」という観点からすれば論外な話ではありますが、科学薬品を嫌う方々により一定の支持を得ている賛否両論なヘアケア方法でもあります。
シャンプーやリンスが有害とか以前に、まずは一度冷静に考えてみる必要があると思ったので今回取り上げてみました。
何故シャンプーやリンスが必要なのか?
何故お湯だけだと良くないのか?
今日はその辺りを掘り下げていこうと思います。
【アンチシャンプー】
まずシャンプーの有害性を掲げる方々の大半は「合成界面活性剤は経皮毒」をモットーに主張を繰り返しています。
「洗浄成分は体に害なので、石けんやお湯で洗うべきだ」という意見ですね。
中には「シャンプーを止めたら抜け毛が減った」とか「白髪が減った」とまで言う人もいるようですが、これはさすがに無いと思います。
毛髪には生え変わりのサイクルがあるので、髪が抜けるのは極めて自然なことです。
またシャンプーを繰り返すことで髪の色素を司るメラニンが破壊されることも、普通はまずあり得ません。
この手の主張ではシャンプーを続けたら抜け毛や白髪が減ったという客観的なデータがひとつも無いので、到底信用できないトンデモ論だと断定できます。
ついでに言えば合成界面活性剤に対してやたらと嫌悪感を示す人がいる一方で、何故か昔ながらの石けんは肌や髪に優しいと勘違いする人も少なくありません。
しかし、石けんも脂肪酸にアルカリ剤を加えた合成界面活性剤の一種です。
湯シャンを薦める人の理屈で言えば、石けんやボディソープで体を洗うことすら経皮毒で有害ということになってしまいます。
「石けんだから優しい」
「シャンプーの合成界面活性剤だから有毒」
そういった考えには基本的に根拠がありません。
【例えば】
シャンプー、ボディソープ、そして食器用洗剤と、程度の差はあれど全て『界面活性剤』で作られるものです。
この『界面活性剤』のイメージが良くないんですよね、言い方を変えれば『乳化剤』と呼んでも差し支えないんですが、、
例えば夏場の暑い日、一日中外で過ごして汗だくになったとしましょう。
頭皮の皮脂腺は顔の2倍以上とされていますが、汗だくになったからには当然ですが頭も皮脂で汚れています。
これを食器に例えてみると、油汚れのある食器をお湯だけで洗い終わる人はほとんどいないと思います。
油は水には溶けませんので、ある程度のヌルつきは取れたとしても水を弾き続けるでしょうし、その食器をまた使いたい方は皆無でしょう。
皮脂は肌を守るバリア機能を有していますが、基本的には使い捨てするものだと考えてください。
肌を守る皮脂は時間の経過と共に変性し、最終的には肌に害をなすものへと変わってしまいます。
放っておけば油は酸化し匂いの元になりますし、また食用油とは異なり皮脂は非常に速く酸化反応(過酸化脂質)が起こります。
これをさらに放っておくと細菌が繁殖しやすい頭皮環境になり、吹き出物や炎症の原因となります。
つまり、健康な皮膚や頭皮を維持するために洗浄(や殺菌)は必要不可欠なものであることがお分かりいただけると思います。
【まとめ】
もし、シャンプーが本当に経皮毒を有するもので、抜け毛や白髪を誘発するものだとします。
そんな事実が認められれば世に出回るシャンプーはすぐに回収されるでしょうし、注意喚起で毎日大騒ぎになるはずです。
(※ただし、実際にこんな事例もあるので要注意)
湯シャンの良し悪しに関しては全面的に否定はしませんが、シンプルにシャンプーを使った方が大きなメリットがあるというのは断言できます。
「シャンプー止めたら髪が生えてきた」とか「シャンプー止めたら白髪が治った」と声高に訴える(本まで出版されてたり)人々も少なくありません。
しかし、ほぼ全部と言っても良いくらいに証左や根拠に乏しいものばかり。
頭皮環境を改善させるにも、悪化させるにも、そこには必ず『理由や原因』があります。
耳障りの良い言葉に惑わされず「何故それは髪や肌に良いのか?」という点を考えることが大切だと思います。