程度の差はあれど、日本人の約50%がクセ毛だと言われています。
「子供の頃は直毛だったのに大人になったらクセ毛になった」というのは、よく聞く話。
年齢によって変化することもあり、多くの人が頭を悩ませる原因になっています。
そんな「クセ毛を直す、もしくはクセを軽減させるヘアケア」という宣伝される商品が出回っています。
今回はクセ毛のメカニズムと対処法について触れたいと思います。
【くせ毛のメカニズム】
まず原因の一つとして、髪の毛の「S=S結合(ジスルフィド結合)」という、タンパク質の結合がずれた際に起こります。
ものすごい雑な説明ですが、
この『S=S結合』が髪の固さ(頑丈さ)や柔軟性、ひいては髪の強さそのものと言っても差し支えありません。
図のように結合自体にズレが生じているということは「極めて頑固な髪の捻じれや歪み」を意味するわけです。
そのコルテックスも硬い繊維(水分を含みにくいP-コルテックス)と、柔らかい繊維(水分を含みやすいO-コルテックス)の2種類で成り立っています。
その2つのバランスが取れていれば直毛に、偏っていると髪がねじれてクセ毛になるということです。
また硬いコルテックスは水分を含みにくく、柔らかいコルテックスは水分を含みやすいため、湿気が多い日にクセが強くなる要因になっています。
さらに毛穴の形によってもクセ毛になることがあり、数珠毛(毛の太さが不均一)や波状毛(毛が波打つ)や縮毛(縮れている)になる原因になります。
【治る?治らない?】
そして、それらを直す、もしくは軽減させると謳われるヘアケア製品ですが、残念ながら科学的な根拠はありません。
髪にタンパク質を補給する、もしくは水分や脂質を補給する。
こういった手段で多少落ち着かせることは可能ですが、大きく見た目に変化が起きるほどの効果は見込めません。
むしろ、もし髪の組成に影響を与えるような薬剤だとすれば、非常に危険なのですぐに止めるべきだと思います。
それらはプロの美容師が扱うべき薬剤であって、知識の無い方が使うものではありません。
よって、非常に魅力的な謳い文句である「クセ毛を直すシャンプー」ですが、現在の科学力では「そこまでに至る性能は無い」とハッキリ言っておきます。
【対処法】
さて、そのクセ毛の治し方ですが現状は縮毛矯正か酸熱トリートメントのみと言って良いと思います。
熱や薬剤によるダメージは避けられませんが、熱処理を加えることで毛髪表面のキューティクルが整い、結果的にツルツルでサラサラな髪質が手に入ります。
しかしサロンで扱う薬剤や美容師のスキルに依存するため、良し悪しが大きく分かれてしまうという点には要注意。
何度も繰り返すことでダメージが蓄積するという意見もありますが、一般的には新生部(新たに生えてきた部分)にしか施術はしません。
ダメージが無いとは言いませんが、そこまで気にしなくても良いとは思います。
【まとめ】
程度の軽いクセ毛であれば、ブラシやドライヤーのみでも十分なセットは可能です。
その上で熱ダメージを防ぐヘアオイルやミストを併用できれば、より効果的にクセ対策ができるでしょう。
総じてクセ毛に対するヘアケアとは
1、アミノ酸系やPPT系シャンプーで毛髪内部のタンパク質を補い、水分や脂質を維持する。
2、熱ダメージを防ぐトリートメントやアウトバスを使い、しっかりとクセを伸ばすようにブロー&アイロンをする。
3、クセの度合いによっては、素直に縮毛矯正や酸熱トリートメント(極弱い縮毛矯正)を検討する。
4、毛先のパサつきや枝毛などはこまめにカットする。
のシンプルな4点になります。
いずれにせよ、髪をケアすることから始まりますので、日ごろのヘアケアを大事に行いましょう。