おかげさまでハイドレーションリッチの増産も決定し「大量に在庫(負債)を抱えて泣き倒す」という事態は回避できました。
素人に毛が生えた程度の私の無茶ぶりを実現してくれる研究者の方々。
企画や研究・開発とは異なる視点で、ビジネスとしてのアドバイスをくれた諸先輩方。
そして、私の信念と誠意を信じて購入していただいた顧客様各位。
改めて、この場で御礼申し上げます。
で、インスタではお伝えしましたが、調子に乗って本格的に基礎化粧品の開発を始めております。
正確には既に1年半も前から水面下で進めてはいたのですが、ある程度の方向性やテーマを絞り、必要な原材料の確保に奔走し、製造元との擦り合わせをしていたら1年半が過ぎていました。
ようやく最初のサンプルが到着し、これから使用感や改善点などをウンザリするほど微調整+トライ&エラーすることが予想されます。
ここからまた長いので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
冒頭から話が逸れましたが、今日は『コラーゲン』のお話。
弊社のシグネチャープロダクツでもある【ハイドレーションリッチ】の主成分であり、現在開発を進めている化粧水の主成分(予定)にもなるコラーゲンですが、意外と深く理解はされていないようで。
今回は知ってるようでよく知らない、コラーゲンについて掘り下げようと思います。
コラーゲンて、、
ヒトの体は水分が約60%、タンパク質が約20%、残りは脂肪や無機質(カルシウムとか)で構成されています。
そのタンパク質の3割強がコラーゲンであり、肌だけではなく骨や関節を守る上でも非常に大切な要素になります。
そこで先に「タンパク質」をさっくり説明します。
コラーゲンは「アミノ酸がたくさん繋がっているもの=タンパク質の一種」であり、アミノ酸は基本的に水溶性ですが、集団になると繊維状(高分子)になり水には溶けません。
人がお風呂やプールで溶けないのはこういう理屈なんですな。
「アミノ酸がたくさん繋がっている」と言いましたが、アミノ酸にも多くの(アルギニンとかグルタミンとか)種類があり、繋がっているのは全て異なる種類のアミノ酸、というのがポイント。
繋がったアミノ酸の種類や順番で種別(名称や個性)が変わっているんです。
(例:ゼラチンのアミノ酸配列※新田ゼラチン様参照)
で、紐状に繋がったアミノ酸がらせん状に(ミサンガみたいなイメージ)3重に絡まっているのが、コラーゲン。
あらゆる生物に存在しますし、それぞれ異なったアミノ酸の種類・組成により、肌や髪のように違う性質を持つものになっていくわけです。
多糖類とコラーゲン
「ゼラチン」と「コラーゲン」はとても近い存在。
鶏肉や魚を煮込むと「煮こごり」となりプルプルな感触になり、化粧品的に言えばタンパク質をゲル化しているので非常に近いものだと言えます。
他にも「寒天」やジャムの素材になる「ペクチン」も似たような感触ではありますが、全てコラーゲンとは似て非なるもの。
これらは「多糖類」と呼ばれ、ヒアルロン酸などの仲間で保湿成分として扱われます。
潤いがあってプルプルな感触が極めて近い両者ではありますが、これらはあくまで似て非なるもの。
保湿を司る多糖類に対し、コラーゲンは肌や髪の栄養素であり、近い存在とはいえ化粧品素材としては全く異なるものであります。
効果と期待
ここまでお話して、とりあえずコラーゲンは「特殊な形をしたタンパク質の一種」ということはご理解いただけたと思います。
で、改めて言うと「タンパク質=プロテイン=ポリペプチド(PPT)」ということで、ヘアケアやスキンケアの最高の素材のひとつであるコラーゲンPPTになるわけです。
要は「肌を作る素=栄養素」をダイレクトに届けるのが保湿やシワ予防に最も効果的、ということです。
ただし、コラーゲンペプチドは上記のように高分子なので浸透性に欠け、それを補うために各研究機関の努力の末に、ものすごく小さなペプチドが作られるようになりました。
しかも単に小さくするだけではなく、皮膚のアミノ酸構造に近づけて浸透性を高めたり、肌の成長因子に寄せて肌の再生効果を狙ったり、それはもう物凄い工夫が施されています。
その結果生まれた有名な成分『EGF(ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1)』を皮切りに、現在では約500種ものペプチドが開発され、アンチエイジングを実現しようと頑張っているわけですね。
まとめ
そうして生まれた素材をどう活かすのか、というのが作り手の腕の見せ所。
昨今はいわゆる「原液ビジネス」が横行していますが、より早く、より深く肌への浸透を促すという意味ではそれが最善とは限りません。
また単に「凄い素材を混ぜ合わせる」だけでは能が無いですし、そもそもどの素材にも特性やメリット・デメリット、さらに言えば相互作用があるのでそう簡単ではありません。
嫌な言い方をすれば、凄い素材が沢山混ざっている商品は総じて濃度が薄く、実効濃度(効果が見込める濃度)に達していないことも少なくないです。
「お手軽価格で希少な素材を贅沢に配合」というのはやはり無理があると考えるのが自然でしょう。
しかし「何か凄い成分が配合されてるらしい」だけで商品を選ぶ方が多いのも事実。
至って普通の処方を、さも凄まじい処方のように訴えかけるメーカーがいるのも事実。
その事実をひっくり返すために我々のような超弱小メーカーが奮闘しているわけです。
何をしてもお肌の悩みが解消されず、明るい気持ちになれない人がいます。
そんな方々のため、毎朝鏡をみるのが楽しみになるような基礎化粧品を求め、日々開発に勤しんでおります。