いわゆる美容室での『サロントリートメント』とお家での『ホームケア』
どちらが大事で、どう効果が違うのかは意外と知られていません。
どちらも髪を綺麗に保つ上で大事なことに変わりはありませんが、消費者の意識の変化によりヘアケア業界も変化の兆しが表れています。
今後のホームケア、つまり次世代のヘアケアとはどうするべきか?どうあるべきか?
今回はこの辺りについてお話したいと思います。
【薬とサプリ】
サロンで扱うトリートメントは一般的に『システムトリートメント』と呼ばれ、3~4種類のトリートメント剤を使用するのが一般的です。
簡単に言えば粒子の小さい順に髪を補修する成分を浸透させ、それが流出しないようコーティングをします。
実際にサロンで行う場合はスチームやアイロンワークが入るので、多少のリラクゼーションも付加価値となるでしょう。
さらに、コーティング用のホームケアがオマケでついたりもしますね。
総じて、痛めた髪質を瞬間的に向上させる『薬』のような役割になるわけです。
対するホームケアはダメージの度合いにより性能がバラつくものではありますが、どちらかと言えばダメージの『予防』や『現状維持』というイメージが強いと思います。
実際に髪質を向上させるホームケア製品も少なくないのですが、そういった効果を狙うものは基本的には高額になる傾向があります。
また高額な商品でも成分的に粗悪な商品もあるため、微妙に信用しづらい背景があります。
なのでこっちは『サプリ』のようなもので「瞬間的な効果は感じづらいけど、持続性はある」のがメリットと言えるでしょう。
【どっちが大事?】
髪を綺麗に保つことや、まとまらない髪を扱いやすくするためにはどちらも大事ですし、どちらも有用です。
理想は両方にしっかり時間とお金をかけてあげることなのは言うまでもないでしょう。
『薬』と『サプリ』に置き換えると分かりやすいですが「薬を飲んで症状が治まったら、サプリに切り替える」が正解だと思います。
これが身体のことであれば薬で症状が収まれば十分ですが、髪の毛は死滅細胞であり勝手に回復したりはしません。
つまり、月に1回くらいのサロントリートメントだけでは、ダメージ全ての補修を望むには少々無理があります。
いくらシステムトリートメントを頑張ろうと、雑なホームケアでは美髪の維持はかなり難しいということです。
【何が効果的?】
では効果的なホームケアに関してですが、これは誰もが同じではありません。
各個人の髪質やダメージの度合い、クセの強さなどで細かく分かれるものです。
本来はこういった悩みに対する答えやアドバイスは実際に髪に触る美容師に聞くべきではありますが、大雑把な目安だけは書いておきます。
◆レベル1
・カラーやパーマ等をしていない。
・髪にツヤがあり、指通りが良い。
・パサつかず、まとまりがある。
いわゆるバージン毛ですね。
よほどロングにしない限りは一定の髪質は保てると思われます。
長期的に健やかな髪を伸ばせるよう、頭皮環境に気を使えるようなシャンプーを選びましょう。
コンディショナーやトリートメントは重くならないような、サラサラ感を目安に選ぶと良いでしょう。
ヘアオイルの質だけにこだわるのも良いかと。
◆レベル2
・髪が乾燥しがち
・毛先にパサつきを感じる、指が引っ掛かる
・コテやアイロンを使わないと艶が出ない
カラーやパーマ、縮毛矯正を続けているような髪が該当します。
よほどのハイトーンカラーやデジタルパーマでなければ問題ないと思いますが、ヘアケアを始めるべき状態です。
長期的な効果を見込んで頭皮ケアシャンプーを使うか、カラーの色持ちを考慮してヘアケア用のシャンプーを使うべきです。
髪質にもよりますが、毛先のパサつきが強いようであればしっとり寄りのコンディショナーやトリートメントを使いましょう。
ベタついた質感にならなければ、アウトバストリートメントも使えればより良いと思います。
◆レベル3
・目に見えてパサついている、広がっている
・指通りが悪く、髪が絡む
・根元と毛先で明るさに差がある
ハイトーンカラーやブリーチ、複数回のデジタルパーマや縮毛矯正を繰り返している髪、もしくはカラーやパーマを併用している方が該当します。
髪の弾力や保湿を維持する骨格が崩れ始め、内部のタンパク質が流出し始めている状態です。
ダメージの度合いにもよりますが、アミノ酸系やPPT系といった保湿性や補修性に富んだシャンプーを使わなければいけません。
コンディショナーもキューティクルの補修や水分・脂質を補充できるもの、またドライヤー等の熱ダメージを軽減できる成分が含まれているものを選ぶ必要があります。
また、ドライ前のアウトバストリートメントも必須の状態です。
◆レベル4
・枝毛や切れ毛でパサパサになっている
・髪が絡んでほどくのに時間がかかる
・アウトバスオイルやクリームで改善できない
・コテやアイロンをしないと髪がまとまらない
複数回のブリーチや、縮毛矯正やデジタルパーマの併用など、かなりの負担をかけた方が該当します。
トリートメントだけでの改善は難しく、粗いコームが通らない部分はカットし、残った部分にケアするのが正解です。
シャンプーはPPT系でタンパク質を補充できるもの、とにかく髪の摩擦を減らす必要があるので泡立ちの良いものを選ぶ必要があります。
コンディショナーやトリートメントはレベル3と同じく水分・脂質を補いキューティクルを補修できるもの、そして熱ダメージのケアができるものだけに限ります。
濡れた状態ではシリコンオイルやミルクタイプのトリートメントを、ドライ後は天然オイルのアウトバストリートメントを併用しましょう。
【まとめ】
繰り返しになりますが上記はあくまで一例であり、実際にはきちんと信頼できる美容師に相談し、適切なアドバイスを貰った上でヘアケアをするべきだと思います。
細毛、太毛、軟毛、硬毛、直毛、クセ毛(数珠毛や波状毛)などなど、髪質は一般的に知られるよりも複雑に分類されるもので、簡単に「こうすれば良い」と割り切れるものではありません。
自分の髪にはどういったケアが合うのか、またどういったケアは避けるべきなのか。
髪が綺麗になるとはどういうことか、そのモチベーションはどうやって保つのか。
ある意味ではダイエットのようなもので、すぐに効果は実感しづらいものではありますが、日々の努力は決して裏切りません。
髪を綺麗にしたい方、綺麗に伸ばしていきたい方。
現在のケアは本当に適切なのか、今一度見直す機会になればと思います。