幹細胞エキスについて

Q&A

「幹細胞エキスは効くのか?」という問いを受けることが多いので、知っている範囲内でお答えします。

なので、今回はここ数年で美容業界を席捲している幹細胞エキスのお話。

 

ヒト幹細胞や植物幹細胞、それらも多岐に渡る種類があり、今も盛んに研究が進められています。

それらが髪や肌に対しどう働きかけ、どういった効果をもたらすのか?

今最も注目される美容成分である幹細胞を紐解いていきたいと思います。

 

 

 

幹細胞とは

幹細胞とは人の体の細胞の一種で、失われた組織を補充する働きがあるとされています。

身体の中にある様々な細胞を生み出し、怪我や病気で失われた身体組織を元に戻すわけですね。

 

幹細胞の研究は意外と古く、1950年代から始まり、詳細は専門的過ぎるので割愛しますが1950年代以降も盛んに研究は続けられています。

間葉系細胞やES細胞などの発見に続き、2006年に京都大学の山中教授がiPS細胞の作製に成功し2012年にノーベル賞を受賞したのも記憶に新しいところでしょう。

iPS細胞は皮膚などに特定の遺伝子を組み込むことで、あらゆる生体組織に成長する万能な細胞を指します。

難病への治療法や新しい薬への発展へと繋がる細胞であり、これら幹細胞を用いる治療法が”再生医療”と呼ばれるわけですね。

 

美容に使われる幹細胞は厳密には少々異なるものではありますが、こちらもヒト由来、植物由来、動物由来と研究が進んでおります。

主に皮膚の再生やアンチエイジングなど、新しい美容医療としてあらゆるヘアケアやスキンケアに導入されています。

 

 

 

 

ヒト由来

文字通りヒトの細胞を元にした幹細胞で、一般的には皮下脂肪から採取した幹細胞が多く使われるようです。

その外にも骨髄や神経、胎盤や臍帯血(へその緒)などから採取される幹細胞もあり、採取される部位により価値が大きく変わるものでもあります。

ただし、化粧品に使われるのは幹細胞そのものではなく培養する際に使われる培養液の方(※幹細胞そのものを化粧品に配合するのは禁止されています)になり、上水液や上清液や培養エキスなどと呼ばれ、製法により呼称が変わります。

 

ヒトの細胞の表面には特定の機能をスタートさせる鍵穴(レセプター)のようなものがあり、それに鍵(リガンド)が合致することで、数ある幹細胞の中でもヒト幹細胞由来こそが最も高い効果をもたらします。

ちなみに、幹細胞培養エキスは主に培養液と上清液に分けられ、上清液の方が純度が高くより効果的だとされています。

ヒト幹細胞培養液の中には成長因子を含む活性成分(サイトカインやグロースファクター)が豊富に含まれ、細胞の活性化を促進すると言われており、近年は研究結果も公表され始め、一定の効果を期待できるものといっても良いと思います。

 

簡単に言えば皮膚を組成するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作る線維芽細胞に働きかけ、角質細胞を活性化させることで肌のターンオーバーを促すということ。

また、毛髪に関しても発毛や抜け毛予防にも効果的であると言われており、そういったエビデンスを求め日々研究が進んでおります。

 

 

 

 

植物由来

「ウトビラー・スパトラウバー」いわゆる「4カ月間腐らないリンゴ」が最も有名ですが、現在ではアルガンツリー由来やブドウ由来、高山植物由来など様々な植物から抽出されるエキスがあります。

主に植物の胚や根、子房あたりの細胞分裂が活発な部分から採取されるそうで、ヒト幹細胞由来と比較して安価で製造が可能になっています。

基本的には過酷な環境でも育つ強い生命力から由来する保湿性や抗酸化作用を期待して使われますが、ヒト幹細胞とは異なりレセプターが存在しないため、その効果も限定的だと言われております。

さらに、ヒト幹細胞とは異なり原料が植物だけにアレルギーの危険性もゼロではありませんので、パッチテスト等をしてからの使用が望ましいと言えます。

余談ですが、4カ月腐らないリンゴはとても酸っぱいそうです。

 

 

 

動物由来

ヒト幹細胞と構造が近い羊や豚、馬などの毛根や胎盤から採取される幹細胞。

細胞の活性化が期待できるとされていますが、動物性ウィルスや衛生面、アレルギーに対する懸念から安全性が確立されておらず、現在国内では流通していません。

 

 

 

ヘアケアに関して

先述したようにヒト幹細胞はスキンケアだけでなくヘアケアにも、特に発毛や育毛に対しての効果が期待されています。

具体的には、培養液の中にはVEGF(血管内皮細胞増殖因子)やKGF(ケラチノサイト増殖因子)が含まれるため、毛母細胞(髪の毛の素)の細胞分裂が促されるという意味です。

現在は”効果が見込めそう”程度に留まっている程度ではありますが、少なからず発毛や育毛に関わる成分であることは間違いないと思われます。

しかし幹細胞以外でも発毛や育毛を大きく促す研究は進んでおり、様々な角度でアプローチした試験が盛んに行われているため、ヘアケアに関しては「幹細胞=最高」とまでは言えないのが現状でしょう。

 

ちなみに、近年はこういった幹細胞エキスを配合したヘアケア商品も多く見受けられますが、個人的にはやや反対のスタンスを取っています。

数々の実験データや論文に目を通してみても、幹細胞エキスの効果はある程度立証されたものではあります。

とはいえ本来は肌に直接塗布するべき成分であり、洗顔やシャンプーなどの”洗い流す”前提で使うものには向かないものではないかと。

 

まして先述したレセプターとリガンドを持たない植物幹細胞由来はなおさらのことで、効果が無いとは言わないまでも、ヘアケア成分に関してはより有効なものが数多く存在します。

なので幹細胞エキスの価値は、例えば化粧水や美容液、もしくはヘアトニックや育毛剤など”塗りっぱなし”にすることで初めて本領を発揮するものだと言って良いでしょう。

そもそも原料自体が非常に希少で高価なものであり、\1,000~¥2,000程度で購入できる商品ではかなりの確率で実効濃度(効果が見込める濃度)に届いていないと考える方が自然ではないでしょうか。

 

 

 

まとめ

幹細胞エキスは肌に関しても、髪に関しても、直接細胞に働きかけるという意味では革新的なものではあります。

一方で製法や鮮度の維持など課題も多く、良くも悪くも伸びしろのある新成分だと言っても良いでしょう。

ただし原料となるヒトの細胞、つまりは脂肪、神経、骨髄、歯髄、胎盤、臍帯血などなど、どこに由来するものが最も効果的なのかは正直分かりません。

一般的には臍帯血や骨髄が最高峰とされていますが、それが機能性なのか希少性なのかがハッキリしないんですね。

そういう意味でも未だ発展途上、恐らくは今後はより細分化され、ある程度の区別をする日が来ると思われます。

 

また、現在はよりインパクトの強い原液ビジネスが増えており、幹細胞エキスも漏れずに原液を謳う商品が少なからずあります。

が、原液を謡いながらもグリセリン等の添加物を加える商品も少なからず存在し、何をもってして「原液」なのか分からない状態になっているのが現状です。

 

昨今はコスパが良い=価格が安い、と間違った認識が非常に多いと思います。

コストパフォーマンスを判断するには原材料に関する知識が必要不可欠ですし、美容の世界は無知だと損をする世界です。

「最高級」や「最高品質」や「希少な」ものは低コストで作れるものではありません

どんなに耳障りの良い宣伝広告があろうと成分は嘘をつきませんので「コスパ最強」なものには注意が必要です。

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