やや遅れましたが、明けましておめでとうございます。
新年早々痛ましい災害と事故で幕が開けた2024年ですが、少しでも早い被災地の復興と、新しい1年への希望が取り戻せる日を願っております。
さて、久しぶりの更新になりましたが、有難いことに年末年始もプラネットプロダクツは仕事に追われ、馬車馬のように働いてました。
毎年開催される化粧品展にも足を運んで仕入れた最新の化粧品業界のお話と共に、2024年のトレンドを含め弊社の研究の進捗具合をお伝えしたいと思います。
ちなみに今回は業界裏話なので、あまり面白くはないことを先に伝えておきます。
化粧品展とは
毎年1月に東京ビッグサイトにて開催される、化粧品に関わる業者の見本市です。
正確には『COSME WEEK TOKYO』と呼ばれ、美容に関するもの全般の展示会となっております。
お隣のエリアでは同様に『宝石展』が開催されており、個人的には目の保養に入ってみたいとは思いつつ、化粧品エリアを練り歩くだけで疲れて帰るのは毎年のお約束。
(※入るには業者としての事前申請が必要で、ゲスト入場は有料です)
で、我々は毎年のように顔を出しているので、このイベントの全体的な推移もある程度は把握しています。
まず以前と比べて広告関連企業の出展が増えた印象で、それと同時にOEM(化粧品製造を請け負う)企業も増えている傾向があります。
これは「小規模事業や個人事業主でも資金と企画力さえあれば化粧品を作って販売できる時代になっている」ということでもあり、つまり化粧品市場全体が拡大傾向にあるとも言えるかもしれません。
業界としては盛り上がっていると受け取れますが、個人的には「数が増えると玉石混合、質が下がる傾向」になると思っているので少々複雑な気持ちです。
実際に技術力に定評のある製造元(工場)は既にOEMの受託をストップしている所もあり、需要と供給のバランスが良いとは言えない状況かなと。
つまり『化粧品関連のノウハウが無いスタートアップ企業×実績のない新規の製造元×広告代理店による宣伝広告』という最も品質が下がりやすいコンボが発生しやすい環境でもあり、今後10年の化粧品業界のイメージは「快晴!」とは言い難いところですね。
弊社も資金力の壁に負けず、より良い化粧品開発をアピールしなくてはと思った次第でございます。
余談ですが、私が化粧品展に行く理由は「新しい原料探し」と「大学や研究機関による新しい研究成果の論文」を求めて行きます。
化粧品展を6時間歩きまわって3キロ分の資料とサンプルを持って帰ってきたら、製造元の社長様はドン引きしてました笑
次世代の原料
今回の化粧品展で感じたのは「発酵系の原料」が非常に増えたこと。
発酵系とは何かしらの材料に菌や微生物を加え、発酵熟成させたエキス類のことを指します。
原料や菌の種類によって効果効能も変わるので一概には言えませんが、ほとんどの場合肌への浸透性や吸収性が向上し、原料をそのまま使うよりも有用なことが多いと思います。
ここ数年は「米麹」の原料が多かったのですが、今では植物の葉類や花弁類、果実に由来するものもありました。
またコメ由来にしても、白米、玄米、古代米など、種類や品種によって含まれる美肌遺伝子の量に差があるという研究もあり、使用感は別にしてもより肌への効果を高める工夫や研究が進んでいます。
これらはまとめて『バイオ原料』とも呼ばれ、化粧品だけに関わらず燃料などにも使われる技術として注目されています。
何せ原材料が『菌や微生物』なので、資源はほぼ無限にあるわけです。
品質管理に手間がかかるのと、シンプルにコストが高いのが難点ではありますが、考えようによってはこれらバイオ原料こそが最もサスティナブルな化粧品原料ではないか?と個人的に思っています。
中国企業の台頭
これは昨年くらいから傾向がありましたが、今年はググっと展示ブースが増えましたね。
日本を代表する化粧品メーカーの中国・アジア圏への進出もあり「日本産の高品質コスメ」がインバウンド的に爆売れしたのも昔の話。
有名なデパコス等の処方をパクった研究したジェネリック的なコスメが中国で流行し、なし崩し的に価格競争にまで至ってしまったことが大手の日本メーカーの今後の課題とも言われています。
そんな日本の製造業のノウハウに中国ならではのマンパワーを加え、同等の品質を保ちながらもよりコストを下げれるよいな仕組みが完成しつつあるのかもしれません。
実際に日本で作る化粧品も原料は中国産のものが多いですし、わざわざ日本に運んだうえで化粧品を作るよりかはコストが低いのも頷ける話ではあります。
本当に品質が保たれているのであれば、ですが。。
直接関わったことはありませんが、昨今の中国品質は昔の「安かろう、悪かろう」とは全く異なるものだと思います。
以前も少し触れましたが、中国人は商品を買う際のハードルが非常に厳しく、また容赦なく返品する傾向があります。
「そういう国民性」とも言えますが、とにかくコスメに関しては非常に厳しい目で商品を選ぶのが身についているわけです。
韓国コスメが中国で流行しなかったのもその辺りに原因があると言われていますし「アイコニックなアイドルやモデルの起用」や「オシャレで豪華な容器」だけでは購入には至らないことが多いそうです。
そんな背景の中で培った化粧品企画と思えば、決して侮れるものではないですし「日本で作るから安心・安全の最高品質」という志向もいつまでも続くものではないのかもしれません。
ただ、仮にも商品や企画を説明するブース内でガッツリ弁当を食べてるあたりが、いかにも中国っぽいというか何というか。。
まだまだ国を跨いだギャップが埋まるまでには時間が必要な気がします。
化粧水の進捗具合
弊社が現在開発を進めているのは先述したような原料を利用した『発酵系化粧品』になります。
他社様よりも先んじて開発に取り組んだと自負していますが、サロンワークと並行しての研究開発で後れを取ってしまい、今後は発酵化粧品も物珍しいものではなくなると予想しています。
ただし、一口に発酵系原料と言っても、有効成分の含有量(濃度)は結構ピンキリが激しく「水に発酵原料を少し混ぜただけ」な化粧品も恐らく乱立することでしょう。
ここまでは予想通りの事態ですので、弊社も当然対策を練っており、他社様では決して真似できないであろう取り組みに入っています。
あまり具体的なことは上げられませんが、今取り組んでいるのは「肌そのものを作る浸透技術」という壮大な研究開発です。
それを実現するための調剤技術(成分を混ぜる技術)に大きな差があると思っていただければ、と。
どんな素敵な原料も、使い方次第で凡庸で退屈な化粧品になり得る可能性があります。
最高級の材料でも一流のシェフが作るのと、駆け出しのシェフが作るので差があるのと同じことですね。
今現在の完成度は80%程度、まだまだ調整が必要ですが、今年の年末くらいにはお客様の手元に届くようにしたいなぁ、、なんて考えています(遠い目)
ここに来るまで応援してくれた方々のためにも、弊社の商材を気に入って繰り返しご購入いただいた方々のためにも、何かしらの形で恩返しができればと思っています。
また肌質に悩み、明るい気持ちになれない方々が思いっきり人前で笑えるような化粧品を目指して、日々研究(と予算のやりくり)を頑張っておりますので、今しばらくお待ちください。
では。