化粧水を使う際、稀にピリピリした刺激を感じた経験はあるでしょうか?
「肌荒れをしているからか?」
「いや、成分が浸透しているからか?」
「肌に合わないので、悪影響があるのか?」
色々な考え方をする方が多いようですが、ピりつきには理由があります。
化粧品の効果や安全性を含め、今回はこの「ピりつき」について掘り下げたいと思います。
【スティンギング】

-Warning!!-
化粧品は大前提として「肌への浸透は角質層まで」
というルールがあります
しかし今回は知覚神経に作用する現象の解説のため、
ちょっとルールを無視しております
まず、このピリついた刺激感は「スティンギング」や「一次刺激」と呼ばれます。
一般的には「皮膚の感覚神経が刺激されることで生じる、薬剤による刺激反応」とされており、アレルギー反応とは異なるものです。
スティンギングは化粧品に含まれる特定の成分が角質層を通過し、知覚神経(の受容体)に触れることで発生します。
受容体が活性化すると神経内で電気信号が発生し、脳に「傷み」や「ヒリつき」として認識されることで、我々はピリピリしたり、シミたりする痛みを感じるわけです。
スティンギングを感じやすい条件は主に4つ。
①低分子で皮膚透過性が高い成分である
②アルコール(エタノールなど)や界面活性剤
③特定の抗菌剤や防腐剤
④pHが酸性、もしくはアルカリ性に著しく寄っている
(※AHA=フルーツ酸によるピーリングのような、ハイリスクな化粧品)
また、肌の状態によってシミやすい条件もあります。
特に乾燥肌や敏感肌、季節の変わる目による肌の不安定な時期などはバリア機能も低下しているため、刺激に弱くなっていることがあります。
【痛みと効果は別問題】
このように、スティンギングは肌の状態と刺激物質による反応です。
美白や抗シワ、抗酸化作用など化粧品や医薬部外品の訴求性とは、薬理作用が異なることが分かるかと思います。
端的に言えば「刺激と効果は別問題」ということです。
肌への高い馴染みやすさや、製品の安定性を目的として配合される特定の多価アルコール(BG、DPGなど)や、アルコール(エタノール)、および防腐目的の成分などが、刺激を感じる物質として知られています。
これらは極めて軽微な刺激性を持つ場合があり、高濃度で配合されると刺激を感じる方もいます。
とはいえ、基本的には保湿を担当する基材の一つであり、また製品の安全性や品質を保つために必要不可欠な成分です。
単なる皮膚刺激なので美白や抗シワ、抗酸化がもたらす効果と関連があるわけでもありません。
(※明らかに赤く腫れたり、湿疹ができる場合は他の原因があるかもしれませんので、注意が必要です)
一般的によく使われる化粧品原料の中には、普通にシミるものもあります。
代表的な例で言えば、抗炎症作用で広く使われる「グリチルリチン酸2K」
植物由来の成分で甘味料(風邪薬とか)や点眼薬として使われますが、若干の塩(えん=ミネラル分)を含みます。
理屈としては塩水が傷口にシミる(電解質による刺激)のと同じで、微細な傷がある部分では若干ですがシミます。
顔を掻いた後とか、髭剃りをした後とか、微細ではあるものの、何かしら肌荒れを起こしている時になりやすいです。
これは化粧品としての良し悪しに関わるものではありません。
むしろ目に入った際のトラブルを回避するため、あえて一時的な(眼性)刺激感を残す処方もあるそうです。
【要注意事項】

ここまでスティンギングによる皮膚刺激を解説しましたが、問題になりやすいのは「スティンギングなのか?炎症なのか?」の判断の仕方。
単なる一時的なピリつきであれば、正直なところ過度な心配はいらないかなと思います。
その一方で、炎症のサインを見逃すのは肌荒れの原因になり得ますので、このあたりの判断は断定できません。
敢えていうのであれば、実際に起きた化粧品による肌荒れや炎症は、知らない人が見たらドン引きするレベルの症状が多いです。
「化粧品 炎症 肌荒れ」などでググるのが手っ取り早いですが、恐らく想像を上回る症状が画像で出てきます。
(※閲覧注意)
「ちょっと乾燥してる」とか「ちょっとニキビができた」程度で収まるものではなく、誰が見ても明らかにヤバそうな症状です。
なので、いざ心配になった際に、注意深く観察すべき症状を3つご紹介します。
①痒み
先述したように、皮膚刺激は刺激物質を肌の受容体が受け取った際に起こす現象です。
具体的にはヒスタミンなどの炎症物質が関与し始めているサインだと言っても良いでしょう。
注意すべきは、刺激が去った後に残る痒み、。
これは軽度の炎症になる可能性がありますので、洗い流した後も痒みが止まらないようであれば、経過観察が必要です。
②紅斑(赤み)
同様に時間が経過した後、赤みが出るようであれば、軽微な紅斑になる可能性があります。
毛細血管内で血液に含まれる成分(免疫システム)が炎症物質を作ることで発生しますが、基本的には数日で回復します。
それ以上かかるようであれば、使用を中止して皮膚科医に相談しましょう。
③発疹
いわゆる「接触性皮膚炎」か、それに近しい状態です。
特定の成分が引き金になっている可能性が高く、使い続けると色素沈着などの恐れがありますの。
速やかに使用を中止して、皮膚科医に相談しましょう。
症状の差はあれど、ご自身で「合わないな」と感じれば、使用を止めることを推奨します。
場合によってはアレルギー性皮膚炎になる可能性もありますし、無理して使い続けることはリスクが伴います。
ただし、合う・合わないはあくまで個人差によるものなので、それが商品の良し悪しに関わるとは限りません。
【まとめ】

というわけで、今回はスティンギングのお話でした。
ちょっとした注意点として、
宣伝広告で目にする「低刺激処方」は、独自の基準や、第三者機関によるスティンギングテスト・パッチテストの結果に基づいています。
これらのテストは、製品の安全性を評価するために非常に重要なプロセスですが、あくまで限定された条件下での被験者での評価です。
肌質や体調による個人差、そして季節的な肌の不安定さなど、あらゆる状況での刺激性を完全に保証するものではないことを覚えておいてください。
最後に要約すると、化粧品による刺激を感じるのは、
・肌荒れしている(バリア機能が低下している)
・肌に合わない成分がある(抗菌剤や防腐剤など)
・攻めの化粧品である(ピーリング剤など)
刺激の感じ方は千差万別です。
大切なのは、一時的な刺激(スティンギング)と、肌トラブルに繋がる炎症のサイン(痒み・赤み・発疹)を正確に見分けること。
ご自身の肌の調子を理解し、化粧品選びや使い方を見直すきっかけにしてください。
私たちメーカーも、より安全で快適なスキンケアを目指し、処方開発と安全性評価に日々取り組んでまいります。