化粧品=水をぶった斬る

SNSでは、未だに「化粧品はほぼ水だから、使う意味が無い」と発信する方がいます。

化粧水や美容液、シャンプーやトリートメント、何だったらフレグランス類まで『ほぼ水』と揶揄する人が結構いるわけですよ。

ほとんどの方が「水だから原価が安い!」と声高に叫ぶわけですが、その根拠は何でしょうか?

 

内容の良し悪しは置いといて、本当に化粧品は安く作れるのか?

化粧品会社は『ほぼ水』を売って儲かっているのか?

その辺をハッキリ示してみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

【言うほど安くない】

「化粧水やフレグランスはほぼ水だから、原価はせいぜい300円くらい」

これは私が実際にSNSで見かけた投稿で、結構な数の「いいね」がついていました。

まぁ意見は人それぞれですし、何を信じるかも人それぞれのなので、それは良いでしょう。

 

では、実際に300円の原価で商品が作れるのかを試算してみましょう。

仮に、コストを削りまくって100mlの化粧水を作るとします。

 

まず容器探しですが、ユーザーの方々が思っているほど容器は安くないです。

個人的に知ってる最安値のボトルでも100円/個くらい、キャップが40円/個くらい。

そこに印刷代が加わるので、ボトルだけで合計160~180円/個くらいでしょうか。

 

そもそも印刷に使う金型を作るのにも、安くて数万円はかかります。

さらに容器のデザイン性、耐久性、持ちやすさ、コンパクト性などを加味するともっと高くなります。

ちなみに、プッシュポンプは容器と同じくらい値が張りますので、約2倍のコストになります。

 

で、化粧箱に入れると高くなるのでシュリンク包装(真空パックみたいなやつ)にしますが、それも1個につき数円。

合計してみると200円強くらいになるので、予算の半分以上が容器で埋まってしまいます。

仮に10万本くらい作れば話は別でしょうが、それでもせいぜい1~2割引きくらいだと思います。

 

 

原料の基材は、お待ちかねの『水』

そこに定番のBG、グリセリン、美容成分として植物エキス類、あと安定性を高めるための抗菌剤や防腐剤。

仮に原料メーカーの推奨濃度で作るとしたら、この超シンプル処方でも数百円はすると思います。

 

さらに作ってもらうための工賃(人件費や設備費用)

商品を保管するための倉庫代。

商品をあちこちへ運ぶ配送料。

そして宣伝や広告費用。

 

ね?

どう考えたって300円じゃ無理ですって。

絶対に不可能ではないと思いますが、そんな安い仕事を請け負ってくれる工場は少ないと思います。

 

 

 

 

 

【低価格にはカラクリがある】

とはいえ、実際に100均や、韓国コスメを筆頭にプチプラ化粧品で低価格を実現するメーカーもあります。

どんな企業努力で低価格コスメを作っているのでしょうか?

大まかに分けると、
①大量生産
②海外の工場を使う

の2つになりますが、もう少し具体的にしてみましょう。

 

まず考えられる可能性としては、超がつく大量生産。

我々のような小規模事業の場合、頑張っても1回のロット(生産数)は2000~3000個くらいが限界です。

それ以上作るには、もうシンプルに予算が足りない。

 

ドラッグストアやコスメストアに卸すような資本力のある中小企業でも1万~5万個、多くて10万個くらいが限界じゃないかと。

日本を代表するような大手メーカーではそれ以上のロットで生産も可能でしょうが、これは自社工場を持っているからこそ。

製造を委託する化粧品メーカーではそこまでの予算は捻出できないんじゃないかなと思います。

 

次に考えられるのは海外の生産工場。

例えば中国や台湾の容器メーカーですが、日本の工場と比べて低コストな傾向があります。

見積もりを見た感じだと2割~4割安といった感じ。

 

容器に関しては、良く言えば攻めたデザインのものも多く、価格も抑えられるので最近は採用する製造元も増えているんじゃないかと。

ただ、小ロット(1000~2000個くらい)では作りにくく、そこそこの規模じゃないと使えないのが難点。

あと国産容器に比べアバウトな部分も多く「傾けたら中身が漏れた」なんてこともチラホラ聞きます。

安全性や安定性にやや欠ける傾向があり、何より責任の一部を担う製造元が嫌がります。

 

 

番外編として韓国コスメですが、これは国の後押しがあってのもの。

例えば韓国は政府が化粧品産業に大規模な投資をしており、端的に言えばメーカーに補助金が出るんですな。

国からお金をもらえるんで当然生産コストは下がりますし、浮いた予算は広告に全振りできる背景があります。

 

 

 

 

 

 

【香料について】

化粧品に付加価値を与える香料。

香りそのものを売り物とするフレグランス類。

これらもよく槍玉に挙げられます。

 

特にフレグランス系は「水やアルコールに香料を少し混ぜただけ」と揶揄されるので、内情を知らない方からすれば暴利に見えるのも理解はできます。

が、香料って高いんですよ。

ものによっては、本当にアホみたいに高い

 

お菓子などに使う香料とは違って、化粧品に使われる香料は「少しだけ買う」ことができません。

基本的に1L~、ものによっては一斗缶(18L)とかになるんで、余剰なコストが生まれやすいんですね。

そのくせ実際に使うのは数百グラムとかなんで、すごく割りが悪いんです。

 

一般的に1kgで数万~数十万はザラにありますし、数百万のものも珍しくありません。

どの香料かは知りませんが、1kgで1千万を超えるものもあるんだとか。

そんな高価な香料だと数滴混ぜただけで100円とか200円コストが上がりますし、これだけで「水(とアルコール)」説は吹き飛ぶことでしょう。

 

何より、一口に「香料」と言ってもその差は千差万別。

数種類だけのシンプルなものもあれば、数十種~数百種を組み合わせトップノート-ミドルノート-ラストノートを演出するものもあります。

このような複雑で奥行きのある香りは専門の調香師が時間をかけて作るものですし、人件費と材料費がかかるのも理解できると思います。

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

繰り返しになりますけど、化粧品てそんなに安く作れないんですよ。

確かに、大容量化粧水などがドラッグストアでセールになっているような事実もあります。

ただ、あれはあれで相当に薄利多売でやってるんじゃないかなーと。

 

それなりのものを作ろうとすれば、それなりのコストがかかります。

材料を育てる人がいて。

原料を作る人がいて。

研究をする人がいて。

化粧品を企画する人がいて。

工場で作る人がいて。

商品を管理する人がいて。

運ぶ人がいて。

売る人がいる。

 

どこまでを『原価』と呼ぶのかは人それぞれですが、普通に考えたら今挙げたようなコスト全てが原価です。

材料費用だけを原価と呼ぶのなら、作家が頑張って書いた小説や漫画は紙とインクしかコストがかからないことになります。

ワ○ピースやキ○グダムの単行本を20円とか30円で買えたら最高でしょうが、余りにも作家に対するリスペクトが無さすぎるとは思いませんか?

 

「ブランド料が乗っかってるだけ」と言いたくなる気持ちも、理解はできます。

しかしそのブランドを確立するまでに、どれだけの投資をして、どれだけの時間を費やしてきたのか?

そう考えれば、理由も無く高く売っているわけではないと、理解もできるのではないでしょうか。

 

 

 

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