いやぁ、、長かった。
2022年の秋頃から企画・開発がスタートしたので、足掛け2年。
当初は化粧水を作っているつもりでしたが、とにかく成分濃度を上げる処方を組んでたら美容液になっちゃいました。
匙加減って難しいですよね。
というわけで、ようやくプラネットプロダクツ初となる、スキンケア第一弾が完成いたしました。
今回はちょっとした裏話と告知も含めて、ちょこっと紹介させていただきます。
【化粧水?美容液?】
先述したように、最初は化粧水を作ってるつもりだったんですよ。
でも「せっかくだからウチ独自のHR処方を応用しよう」という話をいただいて、私もそれに合わせて処方を組んでたわけですよ。
で、何故か出来上がってみたら超がつくほどの高濃度なエッセンスが完成したと。
感触といい、トロみといい、どう見ても『化粧水』とは言い難い感じの仕上がりになったわけです。
余談ですが、化粧水・導入化粧水・美容液・導入美容液などは基本的に区分けの定義はありません。
なもんでメーカーが「化粧水です」と言えば化粧水だし、「美容液です」と言えば美容液として販売するということです。
化粧水って中栓式で逆さまに振って出すのが一般的だと思いますが、作ったサンプルが粘性があるんで上手く出てこなかったんです。
なので当初は100mlでバシャバシャ使うことを想定していたのですが、渋々50mlのポンプボトルに切り替えることに。
最終的に少量でも効果を発揮し、毎日使いできる美容液としてファイナルアンサーとなりました。
ちなみにバルク(中身)って容量が少なくなるほどコストが上がるんですよね。
一般的には知られていませんが化粧品には「充填料」というものがあり、商品の数が増えるほど充填料も上がっていくわけです。
仮に100kg作って、100mlのボトル×1000本と1Lのパウチ×100本だと、そこそこコスト差があったりします。
また中栓式のボトルよりもポンプボトルの方が遥かに高いんですよね、大体2倍強くらいします。
結果論ですが、開発が予想外の方へ行ってしまったがためにコストがどんどん上がっていく地獄絵図。
ヘアケアの反省を踏まえて、今回は余裕を持って予算を組んでいたはずが、もうカッツカツですわ(泣)
【開発初期】
初期の段階で『化粧水』としての使い方が難しいということで、開き直って『保湿に特化させた美容液』に路線変更しました。
まぁ最初から保湿に重きを置いていたんですけど、やっぱりトレンドである『美白』とか『抗シワ』とか『毛穴ケア』は外せないと考えていたんですよね。
だから初期はナイアシンアミドとか、ニコチンアミドとか、サリチル酸とか、あとビタミンC誘導体とかも視野に入ってたんです。
ただそうなると単純に『濃度依存』の土俵になり「ウチは10%!いやウチは15%」とエスカレートするのは明白で、実際に業界ではエスカレートしてますね。
この辺の「どっちが高濃度対決」は韓国市場の方が得意ですし、悪くは言いませんが日本企業とのモラリティの差かなと思います。
日本のメーカーはモラル重視というか「安全なものしか市場に出しません‼」精神が強いんですよね。
韓国や中国のメーカーはそのあたりガン無視で、とにかく高濃度が命。
敏感肌や肌弱さんに対する配慮は、比較的少ないのかなと感じています。
テンプレ処方である『水・BG(PG)・グリセリン』をベースに流行の成分を高濃度配合し、あとは申し訳程度に植物エキスをちょろっと足せば簡単に流行のスキンケアの完成です。
あとはフリーコンセプトで「防腐剤フリー」と言っておけば、いかにもユーザーに気を使ってる風な雰囲気を作ることが出来ます。
ナイアシンアミドとか比較的コストが安いですからね。
高濃度配合して贅沢な作りに見せようが、そのコストなんて純粋セラミドに比べれば可愛いもんです。
こういったテンプレ系の処方は広告に大きな予算を使える企業限定なんですよね。
良し悪しは置いといて、ウチには絶対に真似できない販路の作り方です。
(羨ましい)
【開発中記】
で、流行の成分も捨てて「とことん保湿に特化させる」方向に舵を切ったわけですが、これがもう高いのなんの。。
しかも、一般的に保湿って扱いが地味なんですよね。
「どの基礎化粧品も保湿はするでしょ?」という感じで、ウリとしては非常にワードが弱いんだと思います。
「じゃあ何で保湿に特化させた?」という話ですが、ユーザーがあまりにも「本当の保湿」を知らないから、です。
なので「私が本当の保湿を教えてやろう私に本当の保湿を教えさせていただけるよう、お願いいたします」と思った次第です。
一般的に「化粧水で水分補給をして、クリームやオイルがフタの役割をする」というのが広く浅く浸透しているんですよね。
でも意外と知られていないのが「オイルや油脂も乾く」という事実。
しかも水性成分と比較してもプラス1時間くらいで乾くものが多いようで、皆さんが思ってるほど保湿してくれるわけでもないんすよ。
なので「絶対に乾かない、でもベタつかない保湿を作る」という目標が明確になり、そんな都合の良い保湿剤に本格的に取り組み始めました。
原料を集めトライ&エラー。
毎日のように手作業で混ぜて、感触を確かめる日々でした。
ちなみに、この時点で1年近く経過しております。
【開発後期】
ようやく目標が明確になったところで、立ちはだかる『コストの壁』
開発費用が高くなるのは私も嫌なんですけど、製造工場はそれ以上に嫌がるんです。
何せ指定した原料を購入するのは工場なので、余剰な在庫を持ちたくない工場は全力で抵抗します。
「今回はどうしても必要なんです!」
「一緒に独自処方を作ったじゃ仲じゃないですか!」
「何か豪華なお歳暮送るから!」
「一生のお願い!」
「これからは良い子にするから!」
などなど、あらゆる角度からお願いを繰り返し、結果的に7勝1敗。
まずまずな結果ですな。
(工場の方が見ていませんように)
まぁ最後の原料は明らかに無理な注文だったので、最初から諦めてはいたんです。
「あの、、」
「無理」
と断られたときは流石に笑いましたが(笑)
で、紆余曲折しまくってようやく完成。
コットンパフに一滴垂らして、摂氏25度・湿度40%の部屋にぶち込んでも72時間は潤いをキープしてました。
実際に肌に塗布した際は肌がしっかりと吸収するのでベタつきはありません、肌の薄皮一枚下に潤いを残す処方になってます。
実際に約40名の方にモニターしてもらいましたが、
・しっとり、後スベスベ
・肌に馴染むのがよく分かる
・毛穴が無くなった(と旦那に言われた)
・匂いも全く気にならない
・肌荒れ中でも問題無く使えた
・キメが整って、シワが薄くなった気がする
・質感が新しい
・トーンアップした感じがする
などなど、期待していた答えを沢山いただきました。
作ってる側からすると「美白以外には全て効果が期待できます(※薬機法のためマイルドな表現)」と思っています。
実際に微量の防腐剤やらキレート剤やらを溶かすために使った水は、全体のわずか4.054%のみ。
大袈裟でなく、全体の95.89%が美容成分と言える『超保湿』美容液の誕生でございます。
【まとめとお礼】
しかし高い。
とにかくコストが高い。
実際に調剤に関わった研究員ですら見積もりを見て「高っか!」って言ってましたからね(笑)
思えば化粧品事業に足を踏み入れて、はや4年。
商品をリリースする度に「今回で最後かな。。」と遠い目をしていましたが、何とかやってこれました。
今回も商品を開発するにあたり力を貸してくれた研究員の方々、私の我儘を(嫌々)聞いてくれた原料管理の方々、どうもありがとうございました。
また、おぼろ豆腐メンタルな私を支えてくれたユーザー様各位。
色々と悩み(愚痴)を聞いていただいた顧客様各位。
改めて、この場を借りてお礼の意を申し上げたいと思います。
【告知】
で、ここからが告知。
クラウドファンディングサイト【Makuake】にて12月19日の12:30頃から商品の先行販売をする予定です。
実際に商品をお届けするのは最速で1月後半になりますが、先行でお買い求めいただく代わりに割引で販売します。
まだ考え中ですが、大体20~40%割引を目安に現在調整中です。
(多分もうやりません)
ちなみにご購入が早ければ早いほど、割引率が高くなるようです。
最悪買わなくても良いので、私が睡眠時間を削り倒して書いたプレゼンだけでも見ていただければと思います。
では。
【オマケ】
-ボツになったシリーズ-
①フリーズドライの美容液
美容成分と溶剤に分けて、使うときに専用容器で混ぜてもらう。
〇防腐剤の量を極端に減らせる
✖余計なコストがかかる
✖ちょっと面倒くさい
✖エアレスポンプがあるので、防腐剤のアドバンテージが無くなった
②金とプラチナの高配合
ナノコロイドの金と白金をたくさん混ぜて、最強の抗酸化作用を持たせる
〇独特の赤い色がつく(金コロイドは赤い)
〇紫外線対策、アンチエイジングにとても良い
✖漂う金属臭
✖完全に分散せず、すごく濁る
✖溶剤に多価アルコールを高配合するので、高濃度ではリスクが高い
③セラミドをめっちゃ入れる
難溶性のセラミドを、独自のHR処方で超高配合する
〇(恐らく)業界最高濃度
〇肌のバリア機能改善にド直球で効果的
〇アトピーにも効果的
✖超高い(売れなかったら倒産の危機)
✖ヌルヌルして気持ち悪い(セラミドは脂質)
④100%発酵原料だけで作る
〇豊富なアミノ酸による保湿が良い
〇アイテムとしての訴求性が高い
✖美容成分が思うように混ざらない
✖水が入らないとセラミドが溶けない
✖独特の発酵臭で、香料が必要になる