「ヘアケア専門家」をぶった斬る

来年に向けてヘアオイルと化粧水の企画を立ち上げています。

まぁヘアオイルに関しては3年前、化粧水も2年前から着手していますが、諸々の事情であんまり進んでいませんで。。

処方も固まらないし、予算も無いし、アイデアを探す毎日です。

 

そんな時は市場のトレンドを見てみたり、他社の処方や研究を見て回るのですが、これがホントに、、

改めて「SNSが無法地帯になってるなー」と感じることが多いのです。

特にヘアケア関連は結構ひどい。

 

以前から私が否定的に見ている『ヘアケア専門家』や『ヘアケアオタク』と名乗る方々。

企業案件を受けるため、もしくは自社製品に誘導するために斜め上な主張を繰り返す土壌が出来上がっているように見えます。

 

私もいち美容師なので、爪痕を残すために必死になる気持ちは分からんでもないです。

が、余りにも目に余るので、ちょっと苦言を呈します。

今回は是非とも美容師に見て欲しい、正しい『ヘアケア専門家』の在り方を紐解いていきます。

 

 

 

 

 

 

 

【成分”だけ”で判断する人】

ぶっちぎりで多いのが、このタイプ。

インフルエンサーとして爪痕を残したい美容師たちに多い傾向がありますが、圧倒的に知識が足りてないことが多いです。

 

「○○が入ってるから、ダメ」
「○○が配合されてるから、神」

みたいな極端な判定をする人たちですね。

主に市販品を叩いて、悦に入っている人が多い気がします。

 

その割に「美容成分がたくさん入ってる」とか「カラー落ちしない成分が入ってる」とか、言うことが抽象的なんですな。

メーカーによる商品紹介以上のことが分からないので、パンフレットの受け売りになってしまうのだと思います。

 

 

実際に研究員と話してみると分かりますが、専門家は断定的な言い方はしません。

ヘアケアに限らず、化粧品はそんな単純なものじゃないことを知ってるからですね。

特にシャンプーやトリートメントは非常に複雑な界面構造で作られるので、成分だけを見て判定できる人はプロでもそうそういないと思います。

 

そもそもですが、化粧品製造において『成分』と『化粧品原料』ってイコールじゃないんですね。

成分はググれば詳細が調べられるのですが、化粧品原料は一般の方は教えてもらえません。

例えば、手元にあったパンフレットに載っている両性界面活性剤は、
・イソステアラミドプロピルベタイン
・水
・DPG
が特定の比率で混合され、一つの原料になっています。

このように一つの原料を作るのに様々な成分や防腐剤が混合されるので、成分単体で商品の良し悪しを判定することは不可能なんですな。

 

なので「成分だけで語れば語るほど、化粧品に関して無知である」と言っても良いくらい。

少なくとも、シャンプーやトリートメントに関しては『ミセル』や『コアセル』や『αゲル』くらいは分からないと話にならないですよ。

でもSNS上の『自称ヘアケア専門家』でそこまでの知識を持ってる人はいないので、聞きかじった成分で商品を語るわけですね。

 

例えば、フランス料理を解説するとして

◇プロ「バルデした鴨肉をアロゼして、こびりついた旨味をデグラッセして、ラム酒を加えてエキュメしてあるので味わい深い」

◇自称専門家「良い匂いで、お肉がジューシーで美味しかった」

くらいの差があります。

 

ぶっちゃけ言ってることは根拠に乏しく、大したことじゃないんです。

この構造的な部分をすっ飛ばして、成分だけで化粧品を語る人は『ヘアケア専門家』とは呼べません。

 

 

 

 

 

 

【ネガキャンでアピる人】

ちょっと被りますが、アレコレとネガティブなイメージを植え付けようとする人達です。

新興中小メーカーの案件を受けている人が多いイメージかな。

代表的な例が「サルフェートがー」とか「防腐剤がー」とか「4級カチオンがー」とか、フリーコンセプト至上主義を主張するのが特徴です。

 

ちょっと前までは『○○フリー』の流行もあり、こういった風潮が非常に強かったんです。

特にシャンプーに関しては「洗浄性が強い=パサつく」的な方程式を語る人が後を絶たず、偏った意見が散見していました。

なので「しっとり仕上がるシャンプーこそ至高」な流れが業界にもありまして、結果としてベタついている髪質になる方が増えましたね。

 

特に防腐剤(パラベンやフェノキシエタノール)は目の敵にされることが多く、代わりに大量の抗菌剤が入ってても誰もツッコまず。

防腐成分と多価アルコールの違いも分からない方が多数なので、商品の防腐性能が足りなくてもそこは見て見ぬふり。。

一見正しいことを言っているように見えるものの、製品の構造やコスト、安全性をガン無視した意見が多いです。

 

オーガニック系の台頭により一世を風靡したフリーコンセプトですが、このトレンドもかなり沈静化してきました。

元々の理屈が無茶苦茶なので、今後返り咲くことはないと思います。

インフルエンサーは次の流行を探した方が賢明だと思います。

 

 

 

 

 

 

【独自性で勝負する人】

最後に紹介するのが、このタイプ。

「シャンプー前にオイルでクレンジングする」とか「シャンプーの代わりに食器用洗剤で洗う」とか「トリートメントにヘアオイルを加える」とか。

とにかく『ちょい足し』とか『裏技』でオリジナル感を出そうとする人達です。

 

稀に「アリっちゃアリ」な方法もあるんですが、基本的には論外です。

その商品の使い方に関して、作っている人以上に詳しい人はいません。

どの商品にも『使い方』の記載が法的に義務付けられており、言い方を変えれば記載通りの使い方が『正解』です。

 

こういう独自性を打ち出そうとする人に限って自身のブランドを作ってる人も多く、その割には自社製品はスタンダードな使い方を推す人が多いのも特徴的。

髪質も肌質も人それぞれなので、誰かの独自の使い方で上手くいったとて、それがあなたに当てはまるとは限りません。

何の根拠も無い変テコなメカニズムに踊らされないよう、注意してください。

 

自分でシャンプー作ってみれば分かるんですけど、どの商品も”普通に”使ってもらうことを想定して作ってあります。

何かを足したり、明らかにおかしな使い方は販売側も想定していませんし、その結果デメリットがあったとて責任は取れません。

化粧品の安全性を重視する日本のメーカーの気持ちを台無しにするような意見は、本来あってはならないものだとも思います。

 

 

 

 

 

【まとめ】

個人的に最も嫌うのは、自社ブランドを推すために他社商品を下げること。

もしくは案件として人を使い、それらを助長する意見を声高に訴えること。

 

いくら美容師がダメシャンプーやダメトリートメントを訴えても、気に入って使ってる人がいるわけですよ。

そこに「アレは洗浄力が高いから良くない」とか「コレはコーティングが強いから良くない」とか、もう余計なお世話だろと。

いーんだよ本人が気に入ってんだから。

正確な製造費用も知らんのに、コスパを語ってユーザーに寄り添ってる感を出す人、本当に嫌なんですよね。

 

一応念のために言っておきますが、自社製品の優位性を示すために他社製品を貶めるのは景品表示法違反です。

事業の大小に関係なく、自社商品をリリースしている方は気を付けた方が良いですよ(マジで)

 

 

髪質も肌質も、ダメージ度合いも人それぞれ。

さらに言えば美容にかける予算も、使える時間も人それぞれ。

それらを考慮せずにアレが良い、コレが悪いと断じることはできませんし、ユーザーがそれを参考にするのも時間の無駄です。

 

今現在使っている商品に何の不満も無いのなら、無理に新しいものを探す必要はありません。

何かしらの悩みがあって、どうにか解決したいのであれば、赤の他人じゃなくて担当の美容師に聞いてみるべきです。

たまたま店販売上重視なサロンでセールストークが始まる可能性もありますが、少なくとも担当はあなたの髪質を知っています。

 

まずは信用できる美容師を探すこと。

相談した上で商品を吟味すること。

対して化粧品に詳しくない、素人に毛が生えた程度の『専門家』を無条件に信じるのは、有益とは言えません。

 

 

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