早いものでもう2月。
正月気分など一瞬で過ぎ去って、もういつもの日常ですね。
度重なる異常気象でカカオの原料価格が高騰しているそうで、今年のバレンタインチョコは何やら寂しい品揃えだと何かで見ました。
現在は食品も値上がり中ですし、物価全体の高騰もまだまだ続きそうな予感です。
コレは化粧品にも当てはまり、我々が使う化粧品原料も高騰する一方でございます。
実際には原料メーカーは在庫を持っているのですぐに値上げにはなりませんが、新しく仕込む分は早々の上乗せが予想されるとすでに聞いています。
大手メーカーも苦しくなるとは思いますが、我々のような零細メーカーなんぞはもう不安で不安で。。
この先どうなるかは何とも言えませんが、少しでも長く続けていきたいなぁとボンヤリ考えております。
閑話休題。
昨年があまりにも忙しかったので、今年は少しペースを落としてサロンワークと勉強に専念しようかと思っています。
顧客様からは、
「化粧水とクリームは?」
「フェイスシートが欲しいんだけど?」
「旅行とかに持ってけるパウチないの?」
「サプリとか作れないの?」
「メイクアップ用品まだ?」
「育毛剤とかイケるっしょ?」
などのカスハラご要望を頂いておりますが、新しい化粧品は2026年以降になる予定です。
一応やる気はございますので、今しばらくお待ちくださいませ。
では、遅くなりましたがセラムの解説・後編です。
【④フラーレン】
10年以上前から市場には出回っていましたが、最近になってようやく有名になってきましたね。
植物由来の炭素同素体で、持続性のある高い抗酸化作用を持ちます。
『ビタミンC60バイオリサーチ』という企業が作っていたんですが、三菱商事の子会社と統合したようです。
以前はHPも見やすかったし、お話も伺えたのに、、
統合した瞬間にウチのような零細企業は門前払いですわ、仕方ないけど。
理論上は半永久的に効果を発揮します、金とかプラチナが近いかな。
ただ値段が高い、めっちゃ高い(でもセラミドの方が高い)
実際に配合するのは極微量で、フラーレンにPVP(高分子ポリマー)を添加して溶媒に溶かしてあります。
原液で1%が推奨濃度ですが、実際の濃度としては0.1~0.01%くらいでしょうか?
資料が無いから正確には分からん。
弊社のセラムも1%で配合。
1%配合でメーカーが有している「推奨濃度以上配合しているよマーク」みたいなのが使えるようになり、配合量の目安として使えます。
箱デザインの締め切りに間に合わず、結局使わなかったんですけどね(笑)
【⑤グリセリルグルコシド】
グリセリンにグルコース(ブドウ糖)がくっついたもので「復活の木」で有名な成分です。
日本酒にも含まれ、アルコールを飛ばしたシロップ状の原料がよく使われます。
肌のコラーゲンの固化を抑制したり、メラニンの産生を抑制したり、角質層の成形を補助したり、抗炎症に使えるという研究もあります。
最も大きな点は「アクアポリンの産生」
人の細胞膜には水の通る道(アクアポリン)があるんです。
人の細胞は脂質で包まれていて、本来水が通ることはありません。
しかし水が無いと人は生きていけないわけで、常に体中が潤いで満ちている必要があります。
特に肌の表面には血管が無いので、水分や栄養分を運ぶことができません。
アクアポリンは細胞膜内の水の通り道となり、循環を円滑にする役割を持ちます。
そしてグリセリルグルコシドはこのアクアポリンの数を増やし、肌の潤いやバリア機能の維持に関わる働きがあります。
余談ですが、哺乳類が持つアクアポリンは13種と言われ、表皮にあるのは『アクアポリン3』と言います。
40歳くらいを目安に急激に減少することが確認されており、アクアポリンの数の減少、もしくは穴の縮小により乾燥しやすくなるとも言われております。
さらにグリセリルグルコシドは紫外線によるコラーゲンの固化を抑制したり、シミの原因となるメラニン生成を抑制したり、角質層の材料となるフィラグリンの生成を補助すると言われています。
【⑥ビタミンP誘導体】
成分名は『グルコシルヘスペリジン』
主に蜜柑の皮とか筋から採れるポリフェノールを、肌が吸収しやすいように合成した成分です。
ヘスペリジンだけだと水に溶けないんで、ブドウ糖とくっつけたからグルコシル・ヘスペリジン。
抗酸化作用や肌のバリア機能の改善、また毛細血管の拡張に働きかけ血行を改善させます。
食品にも使われる安全性があり、くすみや目の下のくまを改善させるとも言われております。
おそらく製剤の種類と濃度依存になると思いますが、冷え性にも役立つんだとか。
ちなみに食品としては、中性脂肪やコレステロールを下げる働きがあるそうな。
「体に良いから、蜜柑の筋は取らずに食え」ってことですね。
まとめ
他にも天然保湿因子となるアミノ酸コンプレックスや、ヒューメクタントとして働くシロキクラゲ多糖体やアセチルヒアルロン酸などもあるのですが、微量なので割愛。
2つの記事で紹介した6つの材料が、ほぼ全てです。
セラミドを代表するように、これらの材料を高濃度で溶かす(分散させる)ことは容易ではありません。
むしろ超がつくほどに難易度が高く、また手間暇がかかる面倒な作りになっております。
だからこそ他所のメーカーでは(多分)作れないであろう、独自の処方と言えるわけですが。
この処方を確立するまでにかなりの時間がかかりました、もう本当に大変でした。。
最後まで付き合ってくれた研究員の方々、今一度お礼を申し上げます。
願わくば、このこだわりがユーザー様の理解を得て喜んでいただければと。
「また使いたいな」「もう手放せない」と感じて頂ければ幸いです。