OEMのウラ話(一般編)

今回はOEMのお話。

OEMとは「Original Equipment Manufacturing」の略称。

自社工場を持たない企業が工場に生産を依頼し、納品してもらった商品を売ることを意味します。

 

分かりやすい例で言えば、コンビニやドラッグストアのプライベートブランドや、オリジナル商品なんかがコレに当たります。

余程の大企業でなければ世に出回る商品の大半はOEMであり、自社工場を持たない企業の唯一の商品展開だとも言えるわけです。

 

化粧品に関して言えば自社工場で商品のラインナップを作れる企業なんて数えられる程度です。

逆に言えば、大半の企業はどこかの向上とOEM契約を結んでいるとも言えます。

そんな化粧品においてのOEM、ならびにOEM企業の本音をちょっとした裏話としてお届けします。

 

 

 

 

 

 

【OEMは2種類】

そもそも化粧品は製造許可が必要な業種なので、誰でもできるわけではありません。

自社工場を持たないと許可も申請できませんので、工場の土地+設備+人件費で少なめに見積もっても5億~10億円くらいは必要じゃないかと思います。

 

なので「アイデアはあるけど、生産設備が無い」企業のために、OEM企業(工場)が代わりに商品開発を請け負うわけです。

で、主に【工場主導(OEM)】と【販売側主導(ODM)】の2種類に分かれます。

 

 

①工場主導(OEM)
元々工場が持っている商品(やレシピ)を生産し、販売する企業に売り込む手法を指します。

「ウチこんな商品作れんねんけど、どや?」と販売側に持ち掛ける、という意味です。

〇工場は宣伝に強い企業を狙うので、売れ行きが見込める
〇コストが抑えられる
〇企業は自社で商品開発をしなくて良い
×他社でも簡単に真似できる
×簡単に真似できるので、競合他社が多い

という特徴があり、適当にラベルやデザインを変更すればすぐに商品が完成するので、とっても楽です。

有名メーカーだったり、個人でも影響力のあるインフルエンサーなどは主にこっちの方が多いと思います。

 

 

②販売側主導(ODM)
企業(ブランド)側が商品の仕様を決め、それに従って商品を作ってもらう手法を指します。

「こんな商品作って欲しいんだけど、どや?」と工場に製造を依頼するパターンですね。

〇完全オリジナル商品ができる
〇他社で真似しにくい
×コストが高い
×商品開発に時間がかかる
×販路開拓や宣伝広告が大変

という特徴があり、商品を作るにあたって時間とコストがかかります。

店舗を持たないECサイトに多い生産方法ですね。

 

化粧品に関して言えば、近年はインフルエンサーの影響力が非常に強く、それを見越して広告代理店と共同でOEMすることが増えているようです。

要は宣伝が得意なインフルエンサーと、売るのが得意な会社が手を組み、作るのが得意な工場に依頼するいうことです。

インフルエンサーへの契約料+出来高制が一般的。

よく見かける「〇〇プロデュース」とか「〇〇監修」なんかはその最たる例でしょう。

 

インフルエンサーとしては『認知度』というアドバンテージがあるので、OEMとの相性が良いんですよね。

また代理店からすれば(俳優やタレントを使うCMと比べて)コストをかけずに済むメリットがあります。

急に美容家に転身した有名人が手掛けた化粧品とか、皆さん一度は見かけたこともあるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

【現実は大変】

で、弊社を含む小規模事業や、広告業界にコネを持たない中小事業などは大半がODMを選択します。

理由は簡単で「独自性を出さないと売れないから」に尽きます。

 

広告塔になれるほどに知名度が無いですし、兼業(私は美容師)でやる小規模事業者も多いので、SNSや宣伝に力を入れる時間もお金も無いわけですよ。

なので「せめて品質だけは良いものを」という選択肢に絞られることになります。

 

そのためには工場が持っているレシピではなく、独自路線でアレコレと商品を設計する必要が出て来るわけですね。

これが本当に大変な作業ではありますが。。

 

ただでさえ大変なのに、ODMは「作るのは大変、売るのはもっと大変」という地獄が現実としてあります。

あらゆる広告にコストをかけて発信してもスベることがあるのに、広告に力を入れられない企業はもう超大変なわけです。

むしろスベることが前提というか「かかったコストを回収できれば御の字」という企業も少なくないと思います。
(※ウチのことです)

 

せっかく品質にこだわって作っても、人の目に触れることも無く消えていく商品は数知れず。

高品質なのに注目されず消えていった商品は、残念ながら結構あります。

 

 

 

 

 

 

【あの手この手を考える】

「いかにして、OEM化粧品を売るのか?」

どこのメーカーにも共通する難題ではありますが、宣伝にコストを使えない企業のスタンスはここで大きく分かれます。

ザックリ言えば「使ってもらえれば分かる」派と、「ネガキャンでアピールする」派に分かれます。

 

弊社は前者であり、とにかく地味。

知名度が無い、とにかく地味(2回目)

それでも使ってさえもらえれば、大半のユーザーには良さは分かっていただけた実績もあり、リピーター様のおかげで何とかやれてます。

 

 

一方で、ネガキャンに走りまくるメーカーも少なくないんです。

「シリコンは良くない」
「防腐剤を使うのは最悪」
「泡立つシャンプーは体に悪い」

などなど、自社商品の優位性を示すために謎理論を訴え始めるんですね。

 

近年で言えば『フリーコンセプト』が分かりやすい例。

「シリコーンや防腐剤などを使わない商品が肌に優しい」のように、誤解を招きかねない断定的な意見を強調する傾向にあります。

これはある種の陰謀論と同じようなもんで、過激であればあるほど効果的。

 

まぁマーケティングの手法でもあるので否定はしませんが、トンデモ論を振りかざす怪しいメーカーが多いのもまた事実。

「良いものを作れば売れるわけではない」現実があるにしても「企業としてのモラルは無いんかい?」と言いたくなるようなメーカーも少なからずあると思っています。
(※個人的な意見です)

 

 

 

 

 

【ストーリーを考える】

化粧品に限った話ではないですが、物を売るには『ストーリー性』が必要不可欠です。

ストーリーテリング=ブランドの構築。

要は「何故、この商品が生まれたのか?」という物語でユーザーの共感を得るという意味ですね。

 

基礎化粧品でよくあるのは「自分(開発者)の子供がアトピーだったから」とか、「自身がひどいアトピーで苦労したから」とか。

その話が本当かどうかは何とも言えませんが、似たような境遇で困っている方々へ向けて発信することで共感を呼ぶわけですね。

アトピーなら化粧品じゃなくて医薬品でしょ

 

この物語を作るのが個人的に苦手で、何故なら『自分自身はあまり困っていない』から。

年相応に肌が乾燥したりはしますが、お医者さんにかかるようなトラブルは正直皆無でした。

元々はヘアケアを専門に作る会社だったし、独自開発した技術がスキンケアに応用できそうだからやってみただけだし。。

 

美容師なので毎日お客様に接するわけなので、日々お客様の悩みを聞いて「自分ならもうちょっと良いもの作れそうだな」と思ったのがきっかけなんですよね。

なもんで、あまり共感を呼ぶストーリーが作れないわけですよ。

でも誰よりもユーザーのために、真摯に取り組んだ自負はありますが。

 

もちろん適当にでっち上げて物語を作ることはできますが、直に接するお客様に嘘はつけないですしね(汗)

「だからお前んトコの化粧品は売れないんだ」と言われればそこまでの話ですし、グゥの音も出ません。

 

話が逸れましたが、とにかく物を売るにはストーリー性が大事で、むしろ最初に考えるべき課題と言っても良いかもしれません。

化粧品を売るのに化粧品に詳しい必要は無いですし、その辺りの専門的なものは大抵工場の人達が上手くやってくれるでしょう。

つまり依頼主(あなた)の仕事は「どうやって売るためのストーリーを作るのか?」だけと言っても過言ではないかもしれません。

 

 

 

 

 

【まとめ】

ビジネスとして考えるのであれば、化粧品業界は飽和した業界なので、あまりオススメはできません。

もし参入したいならペット美容とかの方が今後は発展しそうですよ(マジで)

 

どのくらいの情熱で。

どのくらいの覚悟で。

どのくらいの予算で。

どのくらいのコネで。

が大事な要素でしょうか。

こうやって書くとつまらない世界ですけど、実際はそんなもんです。

 

私のように処方や調剤にこだわったところで、恐らくビジネス的には大成しないでしょう。

自身のブランドを立ち上げるだけなら、ぶっちゃけ誰でもできます。

困っている人の助けになるにしても、単に儲けたいだけにしても、目的が明確でないと続けるのが難しい世界です。

 

潤沢な資金を持つ企業が競合相手(のつもり)と認識していますが、万が一私と同じように赤字覚悟・倒産覚悟でこの世界に入ってくる猛者がいるのであれば、いつでもウェルカムです。

ぜひ一緒に業界を盛り上げましょう。

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