フェイスパックについて、考える

某芸能人や美容インフルエンサーを中心に、SNSやキュレーションサイトを通じ毎日のフェイスパック使いを推す人が増えています。

 

基本的にスキンケアの世界は千差万別、人それぞれの肌質や環境に合わせて考えるものなので「これが正解!」と言いにくいんですね。

また「これは間違い!」と断定するのも難しく、人によってメリット・デメリットが分かれるものでもあります。

それ故に、無責任に情報をバラ撒く人が出てきやすい土壌があるようにも思えるんですね。

 

 

その中で、突如として現れたフェイスパックの毎日使い。

先に答えを言っておくと「毎日使いはNG」になるのですが、その理由を述べていきましょう。

 

 

 

 

 

 

【フェイスパックの機能】

まずはここからですね。

フェイスパックを使う上で、何がどのように作用して「有効」だと判断されるのかを考えなくてはいけません。

そのためには、まず肌の構造とメカニズムについて知る必要があります。

 

 

このように肌の表面に位置する角質層は、角質細胞が規則正しく並ぶことで本来の機能を発揮します。

その角質細胞はケラチン(タンパク質)を豊富に含み、そのケラチンが空気中の水分を捕まえることで肌の潤いを維持しています。

 

しかし角質細胞に水が長時間接触すると水分過多になり、細胞が膨らむ現象が起きます。

細胞が膨らむと元の綺麗な列が崩れて隙間ができるようになり、いわゆる「ふやけた」状態になります。

これが『バリア機能が低下した状態』になるわけです。

 

 

この状態を意図的に作ることにより、シートに含まれる美容成分の浸透を促すことが、フェイスシートの機能的なメカニズムになります。

ざっくり言うと『過剰な水分で肌のバリア機能を低下させ、代わりに美容成分を浸透しやすくする』ということです。

 

 

 

 

 

【効果的?】

ここまで見ると「多少のリスクはあるけど、通常のスキンケアより効果的♪」な感じに見えると思います。

 

が、ここに致命的な落とし穴が存在します。

それは「スペシャルケア感のあるフェイスシートの中身は、極めて平凡なことが多いということ。

 

手間暇がかかるものですし、個包装されていたりするとより特別感を得やすいアイテムだとは思います。

しかし大半のフェイスシートに『特別な美容成分』が配合されることはありません。

先述したようにバリア機能が低下したので、通常の保湿成分などがより効果的に感じやすいというだけの話です。

「効果的」ではなく、効果的に「感じやすい」ということ。

大事な事なので2回言います。

 

ついでに言うと、個包装のフェイスシートを作ろうとすると平均して25~30mlの内包液(中身の液体)が必要になります。

言い換えれば一般的な美容液と同じくらいの量が必要になるということ。

数千円~数万円で売られる美容液と同じくらいの容量を、数百円~千円程度で売るのはメーカーとしては不可能です。

つまり「濃厚美容液を贅沢に使用♪」とPRしたとしても、化粧水や美容液と同等、もしくはそれ以下の濃度になると思う方が自然でしょう。

 

 

 

 

 

 

【毎日はNG】

先述したように、フェイスシートは全般的に「化粧水と同程度のものを、バリア機能の低下と引き換えに効果的っぽくするもの」となります。

また、フェイスシートは不織布やコットンを使うため、一般的な化粧水などと比べ防腐剤の量が多くなる傾向があります。

この2点の理由により、少なくとも毎日使うことに対しては「デメリットの方が大きい」と思われます。

 

 

とはいえ、基本的にはバリア機能は低下しても時間と共に回復します。

月に1回、2回程度の『ご褒美ケア』程度なら差し支えないと思われますし、何か気合を入れるイベントの前日に使ったりするのもテンションを挙げる意味合いでは良いでしょう。

 

しかし毎日の使用となるとは明確にデメリットが大きく、慢性的に肌のバリア機能が低下すれば肌荒れ・痒み・湿疹などの症状は出るリスクは高まります。

乾燥肌や敏感肌の方にはさらに大きなデメリットになりますし、そもそもシート自体が肌に接触することもデメリットなので、頻繁な使用はオススメできません。

これは「肌質による、よらない」の問題ではなく、全ての人に当てはまります。

 

 

「水分が肌に接触する時間は、どのくらいでバリア機能を低下させるのか?」については、個人差があり明確な答えはありません。

研究機関の資料なのでお見せすることはできませんが、10分を超えるとバリア機能が大きく低下し始め、20分を超えると著しく低下するという実験データもあります。

 

『バリア機能の低下と引き換えに美容成分の浸透を促す』というケア方法を否定はしませんが、先述した通りフェイスシートの内包液は薄い化粧水、もしくは薄い美容液です。

そして「10分を超えるとバリア機能の低下が起こる」「防腐剤の影響が大きくなる」という事実を踏まえると、どう考えても有効なケア方法とは思えないわけです。

 

 

 

 

 

【まとめ】

美白、抗シワ、保湿、、、何かに特化した効果をPRするフェイスパックが本当にたくさんあります。

どういった効果を狙うのかはそれぞれですが、似たような効果を持つ化粧水や美容液を使った方が肌に優しく、コスパも良いだろうと思います。

 

「5分程度の使用なら問題無いのでは?」という意見もあります。

ならば「なおさら単価が高く、防腐作用が強いパックを使う意味が無いのでは?」と思うわけです。

 

スキンケアの効果を上げるためには、美容成分の濃度を上げる必要があります。

濃度が上がればコストも上がりますし、また美容成分の溶媒となる成分(多価アルコールとか)が逆に刺激や肌荒れになる可能性も高くなります。

平気なのは肌が強い人だけ、多少なり肌のコンディションに不安があるのなら止めた方が無難です。

 

同程度の成分をより効果的に使うためにメーカーは努力しており、いちいちバリア機能を低下させなくても浸透させる技術を実現させています(※)

逆に言えば「フェイスシートでないとできない製剤」というものは無いと思いますし、やはり「マストなスキンケアアイテム」ではないという結論に結び付くわけです。

(※化粧品がPRできるのは角質層まで、でも実際は、、、?)

 

あえてリスクを取ってパックを使う理由はありません。

似たような作用を期待できる、上質な化粧水や美容液を使う方がよほど効果的で安全だと思います。

 

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